2007年 10月 16日
合理的な身体運動 |
「ケイシー療法と東洋伝承医学が教える真実の健康法」松原秀樹著からご紹介します。
◎東洋体育の素晴らしさ~合理的な身体運動の結晶
陰陽のバランスを保ち、氣血の循環を改善させる智恵は、鍼灸や食事、生薬以外に、ヨガのポーズや古武術における身体の動かし方や鍛え方の中にも、数多く秘められています。東洋体育における身体の動かし方や鍛え方は、スポーツ界の常識とは全く正反対といえます。スポーツ界では、骨格が歪んだまま、無茶なトレーニングや技術の練習を続けていたり、また、筋肉を鍛えることに重点が置かれ、歪んだ骨格を整えたり、柔軟性を養うことについては軽視されています。そのために、上達が遅かったり、ケガをしやすかったり、ひいては身体の全般的な健康を損ねる危険性があります。
一方、東洋体育では、まず骨格の歪みを矯正し、筋肉の柔軟性を高めることを、非常に重要視します。それが、気血の循環を改善する基礎だからです。ヨーガのポーズや仙道の導引術などは、そのために行われるのです。
また、通常私たちは、重心が身体の前後左右のどちらかに偏っているものです。その状態のままで直線的に身体を動かすと、筋肉に非常に大きな負担をかけてしまいます。そのため、疲労が大きく、消費エネルギーも多く、関節が歪み、気血の循環も滞ってしまうのです。ひいてはそれが病気の原因になるのです。
古武術の中には、筋肉を疲労させることなく、強い力を発揮する独特な技術があります。その秘訣は、「姿勢」と「呼吸」と「意識」の使い方にあります。
その要領を覚えると、日常生活のあらゆる動作や労働に活かせます。それによって、最小限のエネルギーで動け、筋肉疲労がなくなり、また関節を歪ませたり、歳をとって変形したりといったことが防げるのです。
◎運動法(5)・・・腹圧の強化
一般的に腹筋運動は、ウエストを引き締めたり、内臓を強化するために効果があると考えられていますが、実は全く意味がないばかりか、逆に腰痛を引き起こしたり、内臓の機能を阻害することになります。
例えば、卵を床に落としても割れないようにするには、表面をコンクリートで固めても意味がありません。割れないようにするには、柔らかいもので包まなければなりません。内臓も同じです。腹筋が硬かったら、胃腸は締めつけられてうまく働けなくなります。胃腸は十分に膨らんでこそ、圧縮力(ぜん動)も強くなるのです。それが、消化力や排便力につながるのです。分娩も同じです。膨脹力が、圧縮力になるのです。したがって腹筋は、柔らかくなければいけないわけです。
腰痛の予防や治療に関しても、腹筋を縮めることは逆効果になるだけです。腰痛を予防したり、治療するために最も重要なポイントは、腰椎の椎間を開くということです。そして椎間板の弾力性を高めることが大事なのです。ところが腹筋や背筋を縮めるような運動をすれば、椎間も縮まって、椎間板がますますつぶれてしまうことになります。逆に腹部を膨張させれば、椎間が開いて椎間板の弾力性が高まるわけです。
要するに鍛えなければいけないのは、腹筋ではなくて、腹圧なのです。つまり、お腹を膨脹させる力です。これは、横隔膜の収縮力と、腹膜や腹筋の弾力性といえます。
腹庄は、次に紹介する呼吸法によって、強化することができます。この呼吸法は、吸う時に胸で吸ってお腹をへこませ、次に横隔膜を強く降下(収縮)させることによって、腹部内臓に強大な圧力をかけ、内臓の筋力や腹膜の弾力性を高めるのが目的です。
この運動のポイントは、腹部を膨脹させる時、なるべくヘソより下が膨脹するようにし、みぞおちのあたりが緊張しないようにすることです。そのためには息を一度背骨にぶつけてから下腹に送り込むようにイメージしながら行うといいでしょう。また下腹部を膨脹させる際に、腰を反らせないこと。腹にも腰にも均等の圧がかかるようにします。
慣れてきたら、パートナーに下腹部に両手をのせて体重をかけてもらうか、足で乗ってもらうと効果的です。うまく行なうと、下腹部を膨脹させた瞬間に、瞬時に脚が熱くなります。腹部で堰き止めていた血液が一気に脚へ圧し出されるためです。
これを行って腹部のどこかが痛む場合は、その部位に停滞または何らかの異常がある証拠です。無理して行わないで、先に体調を整えてから行うようにしてください。
●腹圧増進呼吸法
(1)あおむけに寝て、両脚は自然に伸ばして足を肩幅程度に開きます。
(2)腰を反って、姿勢を正し、腰に手を当てます。親指が腰で、四指がお腹側です。
(3)息を吐いて、お腹をできるだけペシャンコにします。
(4)お腹をペシャンコにしたまま、胸で大きく息を吸い、胸郭を大きく拡張します。呼吸を3秒間止めます。
(5)次に、口からわずかに息を洩らしながら、吸った息の約9割を下腹部に送り込むようにイメージしながら、下腹部をパンパンに膨らませます。膨らませきったところで3秒間息を止め、下腹部の前後・左右・上下方に十分に圧力をかけます。
(6)その後、息をゆっくり吐きながら再びお腹がペシャンコになるまで、完全に息を吐ききります。
(7)以上を1セットとして、5~10回ほど繰り返します。
参照1:正しい姿勢
参照2:ひざと足の基本
参照3:腰を入れる
参照4:日本文化の身体的な基礎
参照5:骨盤底を意識する
参照6:ワークショップ
参照7:宗家養成のための身体作り
参照8:詩を生む身体
参照9:バレエ式ストレッチ
参照10:ストレッチ
参照11:脳を鍛える筋トレ
参照12:絶対やめよう「つま先走り」
参照13:演奏のコツ
参照14:今年の稽古方針(’07)
参照15:ネコのひとりあそび
参照16:鎖骨と肘
◎東洋体育の素晴らしさ~合理的な身体運動の結晶
陰陽のバランスを保ち、氣血の循環を改善させる智恵は、鍼灸や食事、生薬以外に、ヨガのポーズや古武術における身体の動かし方や鍛え方の中にも、数多く秘められています。東洋体育における身体の動かし方や鍛え方は、スポーツ界の常識とは全く正反対といえます。スポーツ界では、骨格が歪んだまま、無茶なトレーニングや技術の練習を続けていたり、また、筋肉を鍛えることに重点が置かれ、歪んだ骨格を整えたり、柔軟性を養うことについては軽視されています。そのために、上達が遅かったり、ケガをしやすかったり、ひいては身体の全般的な健康を損ねる危険性があります。
一方、東洋体育では、まず骨格の歪みを矯正し、筋肉の柔軟性を高めることを、非常に重要視します。それが、気血の循環を改善する基礎だからです。ヨーガのポーズや仙道の導引術などは、そのために行われるのです。
また、通常私たちは、重心が身体の前後左右のどちらかに偏っているものです。その状態のままで直線的に身体を動かすと、筋肉に非常に大きな負担をかけてしまいます。そのため、疲労が大きく、消費エネルギーも多く、関節が歪み、気血の循環も滞ってしまうのです。ひいてはそれが病気の原因になるのです。
古武術の中には、筋肉を疲労させることなく、強い力を発揮する独特な技術があります。その秘訣は、「姿勢」と「呼吸」と「意識」の使い方にあります。
その要領を覚えると、日常生活のあらゆる動作や労働に活かせます。それによって、最小限のエネルギーで動け、筋肉疲労がなくなり、また関節を歪ませたり、歳をとって変形したりといったことが防げるのです。
◎運動法(5)・・・腹圧の強化
一般的に腹筋運動は、ウエストを引き締めたり、内臓を強化するために効果があると考えられていますが、実は全く意味がないばかりか、逆に腰痛を引き起こしたり、内臓の機能を阻害することになります。
例えば、卵を床に落としても割れないようにするには、表面をコンクリートで固めても意味がありません。割れないようにするには、柔らかいもので包まなければなりません。内臓も同じです。腹筋が硬かったら、胃腸は締めつけられてうまく働けなくなります。胃腸は十分に膨らんでこそ、圧縮力(ぜん動)も強くなるのです。それが、消化力や排便力につながるのです。分娩も同じです。膨脹力が、圧縮力になるのです。したがって腹筋は、柔らかくなければいけないわけです。
腰痛の予防や治療に関しても、腹筋を縮めることは逆効果になるだけです。腰痛を予防したり、治療するために最も重要なポイントは、腰椎の椎間を開くということです。そして椎間板の弾力性を高めることが大事なのです。ところが腹筋や背筋を縮めるような運動をすれば、椎間も縮まって、椎間板がますますつぶれてしまうことになります。逆に腹部を膨張させれば、椎間が開いて椎間板の弾力性が高まるわけです。
要するに鍛えなければいけないのは、腹筋ではなくて、腹圧なのです。つまり、お腹を膨脹させる力です。これは、横隔膜の収縮力と、腹膜や腹筋の弾力性といえます。
腹庄は、次に紹介する呼吸法によって、強化することができます。この呼吸法は、吸う時に胸で吸ってお腹をへこませ、次に横隔膜を強く降下(収縮)させることによって、腹部内臓に強大な圧力をかけ、内臓の筋力や腹膜の弾力性を高めるのが目的です。
この運動のポイントは、腹部を膨脹させる時、なるべくヘソより下が膨脹するようにし、みぞおちのあたりが緊張しないようにすることです。そのためには息を一度背骨にぶつけてから下腹に送り込むようにイメージしながら行うといいでしょう。また下腹部を膨脹させる際に、腰を反らせないこと。腹にも腰にも均等の圧がかかるようにします。
慣れてきたら、パートナーに下腹部に両手をのせて体重をかけてもらうか、足で乗ってもらうと効果的です。うまく行なうと、下腹部を膨脹させた瞬間に、瞬時に脚が熱くなります。腹部で堰き止めていた血液が一気に脚へ圧し出されるためです。
これを行って腹部のどこかが痛む場合は、その部位に停滞または何らかの異常がある証拠です。無理して行わないで、先に体調を整えてから行うようにしてください。
●腹圧増進呼吸法
(1)あおむけに寝て、両脚は自然に伸ばして足を肩幅程度に開きます。
(2)腰を反って、姿勢を正し、腰に手を当てます。親指が腰で、四指がお腹側です。
(3)息を吐いて、お腹をできるだけペシャンコにします。
(4)お腹をペシャンコにしたまま、胸で大きく息を吸い、胸郭を大きく拡張します。呼吸を3秒間止めます。
(5)次に、口からわずかに息を洩らしながら、吸った息の約9割を下腹部に送り込むようにイメージしながら、下腹部をパンパンに膨らませます。膨らませきったところで3秒間息を止め、下腹部の前後・左右・上下方に十分に圧力をかけます。
(6)その後、息をゆっくり吐きながら再びお腹がペシャンコになるまで、完全に息を吐ききります。
(7)以上を1セットとして、5~10回ほど繰り返します。
参照1:正しい姿勢
参照2:ひざと足の基本
参照3:腰を入れる
参照4:日本文化の身体的な基礎
参照5:骨盤底を意識する
参照6:ワークショップ
参照7:宗家養成のための身体作り
参照8:詩を生む身体
参照9:バレエ式ストレッチ
参照10:ストレッチ
参照11:脳を鍛える筋トレ
参照12:絶対やめよう「つま先走り」
参照13:演奏のコツ
参照14:今年の稽古方針(’07)
参照15:ネコのひとりあそび
参照16:鎖骨と肘
by centeringkokyu
| 2007-10-16 00:02
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