漢字廃止で韓国に何が起きたか |
2017年11月8日、中国産業経済信息網が、日本が漢字を廃止しなかった理由について分析する記事を掲載した。
記事は、第2次世界大戦後、漢字文化圏は解体することになったと紹介。韓国、北朝鮮、ベトナムではいずれも漢字が廃止され、日本では早くも明治維新の前から漢字廃止論が出ていたと指摘する。
例えば、江戸時代の蘭学者・西川如見は、漢字が煩雑で効率では西洋の文字に劣るとしており、日本郵便の父と言われる前島密も、西洋諸国に倣って表音文字を採用し、最終的には日常および公文書から漢字を取り除くべきだと主張していた。
明治時代になると、日本社会全体に衣食住から文学に至るまで西洋に陶酔する雰囲気となり、文字も含めて全面的に西洋化すべきとの主張をする人も少なくなかったようだ。
漢字の最大の危機は第2次世界大戦後だといい、戦後日本を占領した米国が漢字を廃止してローマ字を使用することを提案。これは「公文書で漢字を禁止すれば、日本人の思想をコントロールしやすく、日本政府要人の間で交わされる文書の監視が容易で、戦前のスローガンの影響を無くして新たな思想の世代を生み出せる」という理由からだと記事は指摘する。
しかし、記事は「日本政府は珍しく占領軍の意思に反する決定をした」と紹介し、「これは漢字を日本という国家の性質を守る最後の文化防衛ラインと見なしたかどうかは定かではないが、1946年に日本は1850字の『当用漢字音訓表』を制定。公用文書とメディアの文章には、国が規定する漢字仮名交じり文を使用することになった」と伝えた。
さらに「その後、コンピューターに漢字を入力することの技術的な問題が解決するに至り、印刷や通信への漢字の適用が容易になった」とし、「常用漢字表が制定された1981年には、漢字仮名交じり文が、日本の社会文化に最も効果的で適した文字であるとされ、日本が漢字文化圏の中で唯一漢字を残した国になった」と解説している。(翻訳・編集/山中)
▼「漢字廃止で韓国に何が起きたか」呉善花(2008年10月3日発行)PHP
・日本も韓国も伝統的に漢字を用いて各種の文章記述、表現を行ってきた古くからの漢字文化圏に属する国である
・ハングルとは純粋な表音文字。李氏朝鮮時代に作られた。もともと「訓民正音(民に訓える正しい音)」と呼ばれていた。つまり漢字を読み書きできない者(一般民衆)のために、朝鮮語の音を正確に書き記しことのできる文字として作られたもの。
・しかし、漢字を重んじる高級官僚や知識人たちは、これを真字(=漢字)ではなく諺文(オンムン、俗字の意味)として排斥。そういう背景で、民衆がハングルを教えられる機会も得られず、以後、四百数十年もの間、一般民衆にはほとんど使われることなく過ぎた。・「漢字ハングル交じり文」が本格的に用いられたのは、日本の手で学校制度が敷かれてから、一般の人びとまで広く普及した。
・韓国の漢字廃止は1948年に大韓民国が成立し、公用文は「原則的にすべてハングルで書くべし」との法律が制定されたことに始まる。しかし政府の推奨にも関わらず、公用文、新聞、専門書などからは依然として漢字がなくなることはなかった。漢字廃止には専門家たちの反発が大きかった。
・韓国の学校教育で「漢字廃止・ハングル専用政策」がとられるようになったのは、1968年春から。(当時の韓国では小学校4年から漢字を教えていた)
・漢字廃止政策以後の韓国では、教科書をはじめ、新聞・雑誌・書籍からレストランのメニューに至るまで、漢字はほとんどその姿を消してしまっている。
・韓国語は漢字を廃止したために、日常的にはあまり使われない、しかし概念や理念を表す言葉、各種の専門用語など、伝統的に漢語で表されてきた重要な言葉の多くが、一般にはしだいに使われなくなっていった。各種の評論・研究論文や新聞・雑誌の記事に、総じて書き言葉の世界に、語彙の恐ろしいまでの貧困化がもたらされた。
・現在の韓国人が書く文章は一般的に、簡潔、単純、直接的という傾向が強く、言葉の奥行きがきわめて浅い。
・現在、漢字教育を受けることなくハングルだけで育った者たちが韓国人口の大半を占めるに至っている
◆漢字廃止の問題点
・同音異義語の区別ができないこと。膨大な同音異義語から起きる混乱が起きている
・「概念を用いて抽象度の高い思考を展開すること」ができなくなっている。韓国の文化を維持発展させるどころか、質を落とすような状況に。
・1970年以前に発行された人文・社会科学の大部分の専門書は、漢字ハングル混じり文で書かれているが、ハングルしか教えられていない学生は、これを読むことや理解することができない。漢字時代の文献を読むことができない韓国の学生
・さらに抽象度の高い漢字語の概念語を知らないため、外国語の専門書などもほとんど理解できない状態に。
・高度な精神性と抽象的な事物に関する語彙、倫理、道徳、哲学、芸術、科学、文明語彙のほとんどが、韓国の一般の人びとにはもちろんのこと、かなりのインテリにも正確に理解されないまま、しだいに遠く無縁なものになっていく。今の韓国語では深遠な哲学や思想の議論はまず成り立たない。ハングルだけで世界的な水準をもった哲学論文を書くこともほとんど不可能である。日本語か西洋語でやるしかない
・韓国のご老人の中にも「韓国語では難しいことは考えられない。考えようとすればどうしても日本語になる」という人が何人もいる
・同音異義語だけでなく、漢字を失った韓国語では、いったいなんのことやら理解できない言葉がやたらに多くなってしまう。ハングル専用は、社会的な意志の伝達に大きな弊害をもたらすことになってしまっている。
・概念を駆使しての思考が苦手な戦後世代の韓国人
・韓国語の語彙の約70%が漢字語
・韓国語では日本語と同じように概念語や専門用語の大部分が漢字語であるのに、漢字の知識によって、それらの言葉を駆使することができなくなった。そのため韓国人は、抽象度の高い思考を苦手とするようになってしまった
★ハングル専用世代が分からない言葉の例
「しこうのそんざい(至高の存在)」、「けんじんにまなぶ(賢人に学ぶ)」、「すいぼうたいさく(水防対策)」
・ハングル専用世代が新聞や雑誌や本を読むと「意味不明の言葉」がいっぱい出てくるようになる。ハングル世代は仕方なく、そこを読み飛ばし、実にいい加減な読み方しかできないのが実情。
・意味不明の言葉を読み飛ばすことが習慣になり、自分の知らない漢字語がちょくちょく出てくる書物や雑誌を読まなくなってしまうこと。これが韓国ハングル専用世代の実情。
・漢字廃止が国民の思考水準を低下させた。歴史的な語彙の80%を失うことになってしまった。
★漢字廃止が戦後韓国の知的荒廃を推し進めた。韓国人はハングル専用のおかげで「世界一読書率の低い国民」となってしまっている。(国民1人当たり年間平均読書量0.9冊)。「韓国国民全体が文盲のどん底に陥った」というのは、けっしておおげさな言葉ではない。
▼現代韓国人の20の国民性格(著者:李符永・ソウル大学教授)2015年発刊
(01)依頼心が強い
(02)すべきことをせず他人に期待し裏切られると恨んだり非難する
(03)相手も自分と同じ考えだと思い「違う」と分かると裏切られたと思う
(04)せっかちで待つことを知らず「今すぐ」とか「今日中」とよく言う
(05)すぐ目に見える成果をあげようとし効果が出ないと我慢せず別の事をやる
(06)計画性がない
(07)自分の主張ばかりで他人の事情を考えない
(08)見栄っ張りで虚栄心が強い
(09)大きなもの・派手なものを好む
(10)物事を誇張する
(11)約束を守らない
(12)自分の言葉に責任をもたない
(13)何でも出来るという自信を誇示するが出来なくても何とも思わない
(14)物事は適当で声だけ大きくウヤムヤにする
(15)綿密さがなく正確性に欠ける
(16)物事を徹底してやろうとしない
(17)「見てくれ」に神経を使う
(18)「世界最高」とか「ブランド」に弱い
(19)文書よりも言葉を信じる
(20)原理・原則より人情を重んじ全てを情に訴えようとする
▼中国・環球時報 2019.3.7
韓国世論の大きな特徴は、物事に対して衝動的になり、集団的な激高や悲壮感が起こりやすいこと。
1972年2月、ニクソン米大統領が国交正常化のため訪中し、周恩来首相に対して「南であれ、北であれコリアンは衝動的な人々だ。重要なのは、我々がこの衝動的で好戦的な人々が事件を起こし、我々の国(米中)を困窮に陥らせないよう影響力を発揮することだ」と話したと47年前に記録されている。
▼<文政権が狙うは1国2制度>
韓国の左派勢力(ともに民主党+正義党)および文政権は、南北朝鮮につき、一国2制度方式を検討しており、社会主義ながらある程度自由を謳歌する韓国と、経済開放ながら独裁政権の北朝鮮という構図を考えている。
社会主義ながらある程度自由を謳歌する韓国とは、文政権のこれまでの積弊清算=粛清からして、中国式体制を模索しているものと見られる。
経済的には自由主義を唱え、政治的には一党独裁の中国方式を念頭に置いているようだ。
米国はF35を売却したことから、韓国文政権から追い出されない限り、完全撤退はないと見られる。