現代人に必要なのは”排泄” |
▼『家庭の人体力学』 井本邦昭・著より、一部を引用させて頂きます。
すべての人には自然治癒力が備わっていて、病気やケガをすれば、治る方向に力が働くということは誰もがわかっていることです。
しかし、いざ具合が悪くなると自然治癒力という言葉は脇に置いてしまい、この能力を発揮させるのとはかけ離れた方向に行動してしまうことが多いようです。
人間が熱を出すのは、体の偏りを修正し、免疫機能を最大限に活性化させるためです。
侵入してきた病原菌と戦うために、体は一生懸命熱を上げて戦闘態勢を作ります。それなのに、解熱剤や消炎薬を入れて無理やり熱を下げてしまったらどうなるでしょうか。一時的に体は楽になっても、結局、病原菌が体に居すわる時間が長くなり、症状が長引くことが予想されます。そして長引いたために体力も落ち、なかなか治りにくくなってしまいます。結局、また抗生剤などの薬の力を借りて病原菌を退治するしかなくなってしまうのです。
薬に頼ってばかりいると、体は硬くなってきます。そして徐々にその薬も効かなくなると、効果の強い薬へと走ることになります。結果、副作用に悩んだり、肝臓や腎臓に負担をかけ、ますます自然治癒力を発揮しにくい体へと突き進んでしまうのです。
発熱は、体の隅々まで大掃除をして新しい細胞に生まれ変わらせ、そして疲労などからゆがんでしまった体の偏りを修正する役割を果たしています。古いものを取り壊し、新しいものを創り出す作業をしているわけですから、熱を出したらチャンス!と思ってもいいほどです。
しかし、気をつけてほしいのは熱が下がったときです。発熱のあとで体がゆるみ、体にとって最も休養が必要な時期に、冷たい風に当たったり、冷たい水を触ったりしてはいけません。食べすぎたり、お風呂などの刺激を避けることも大切です。
子どもを持つお母さんにありがちなのですが、病み上がりに栄養のあるものを食べさせたいという親心から、高カロリーのものを与えてしまい、かえって胃腸に負担をかけてしまうことが多いのです。その結果、風邪の二度引きをしてしまうこともあります。
体が再生に向かって徐々に立ち上がろうとしている足を引っぱってはいけません。熱が下がったときこそ、休養が必要なのです。
自然治癒力を下げる行動には、栄養の摂りすぎもあげられます。
口内炎や胃痛があるとき、あなたはどうしますか?
薬を服用したりして、様子を見ながらなるべく負担の少ない食事を摂るようにするのではないでしょうか。
口内炎や胃痛は、臓器が疲れているサインです。「これ以上酷使されたくないから、食べるのを止めて!」という体の悲嗚です。その声をきかずに、ビタミンが足りないのでは?とサプリメントを摂ったり、無理やりお粥を食べてみたり。これでは治りが遅くなってしまうばかりです。
昨今、ちまたには「アンチエイジング」という流行りのワードを掲げたサプリメントや機能性食品などが溢れかえっています。年をとったらグルコサミン、シワにはコラーゲン、など摂取しないと体にマイナスを与えるようなイメージさえ、できつつあります。
しかし、現代人に必要なのは”排泄”なのです。
十分すぎるほどの栄養価の高い食品に囲まれた生活を送っている私たちが、どうしてさらに栄養価をプラスしなければいけないのでしょうか?
今は、足し算より引き算の時代です。
ひざ関節の油分が少なくなってくれば、体操をすればよいのです。少し動かせば、自然と少なくなった箇所の油分を補充しようと、体は油を作り出します。ひざ痛を訴える人の多くは過食が原因としてみられるため、減食が一番効果的。減食して3日目にはみなさん「痛みがとれた」と口をそろえて言われます。
シワが気になるのであれば、血流を改善し、開いた後頭部を引き締める体操をしてみましょう。コラーゲンを飲んだからといって、目尻のシワがなくなるわけではないのです。
究極に甘いトマトを作るために農家がしていることは、水や肥料などを与えず、枯れる直前の極限状態を作り出すことだそうです。本来植物が持っている能力を最大限に引き出すには、外から過剰な栄養は与えないこと。それは人も同じです。体の中にこそ、自分が必要とする薬が眠っているのですから、その効力が十分に発揮できるように、いらないものは体から排出して、つねに血行がよく免疫力の高い状態でいることこそが、真の健康なのです。
〆管理人です
過食が身体の不調を招くことは、自分の体調を見ていても、患者さんの症状を診せて頂いても実感します。
自分の身体に備わっている素晴らしい力を、活かしていきたいものですね。
参照1:相手を知るための観察
熱が出たからこれを冷やす、悪い処があるからこれを取ってしまう、というやり方なら、体の観察ということもそれほど重大でない。またある型式を誰にでも同じようにあてはめてやっていくのならば、それほど面倒なことではない。けれども一人一人の違っている動きの中から、その焦点を見つけ出し、その体の働きを一層生かすようにしようと考えると、これは難しいことなのです。つまり私達が使うのは全部相手の力なのです。
参照2:風邪は放っておいても治る?
そのうちよくなるということですが、実はすっかり風邪が治るのに案外時間がかかることはあまり意識されていません。「風邪は風邪薬を飲めばすぐ治ってしまう」というのは間違いで、そもそも市販の風邪薬で早く治ることはないですし、1日や2日では治らないのです。
参照3:薬には副作用がある
熱はもともと生理反応として出ているわけだから、それを薬で抑えるのは、炎症の進行過程の「起承転結」を少し遅らせることになる。つまり長引く結果になるということだ。熱を抑える薬を服用するときは、風邪が長引くという覚悟をしておく必要がある。
参照4:病気の症状は排泄現象?
極論すれば、病気の症状というものは、実は排泄現象であり、体が治るために自身でパンチャカルマ(浄化法)を行っているという捉え方もできよう。
参照5:自然治癒力は?
あなたは信じられるか?
現代の大学医学部では自然治癒力について教えられていない。「自然治癒力」の講座はまったく存在しない!
私は驚いて「なぜ大学医学部で自然治癒力を教えないのか?」。高名な医学博士、森下敬一医師に直接問うた。すると、この自然医学の泰斗は、体をゆすって何々大笑。こう答えたものだ。「そりゃあ、あたりまえだ。患者がほっといても自然に治っちまう、なんてことを教えてごらん、医者も薬屋もオマンマの食い上げだ」