呼吸・体内操作・意念 |
私達の身体は、呼吸と共に緊張と弛緩を繰り返しています。
それは、肺が伸縮するという解剖生理学の説明ではなく、心身に行き渡るもっと大きな働きを指します。
力を入れるときに掛け声を発したり、驚いたときに息を吸ったり、ホッとしたときに息を吐いたりします。
呼吸は動作や感情と深く関わっており、呼吸をベースに身体を構築していくことで、自然に備わった働きを存分に活かすことが出来ます。
そして、呼吸によって自らの心身をコントロールできる状態にあると、相手の呼吸を誘導することも可能になり、それが合気を使った技となります。
【体内操作】
私達の身体には、意識できていない場所、動かせていない場所がたくさんあります。
呼吸に関係の深い筋は身体の深層にあり、深層にある筋を自在に動かせるようになって初めて、中心からの力が生じます。
浅層の筋は伸び縮みすることで動作における張力となり、自分の身体の状態や外界の状況を伝えてくれるセンサーとしても働きます。
縮めて固まった場所があると、感覚を鈍らせ、動きを妨げる要因になります。
筋にはそれぞれに適した役割があり、全体が協調し、分担がきちんと行われることで、大きな力を発揮し、細やかな動きを実現できます。
【意念】
呼吸も体内操作も、自分の認識できている範囲でしか、行なうことは出来ません。
逆に、意識が及んでいる範囲であれば、意識するだけで呼吸や体内操作によって起こる働きと同様の力を導くことも出来ます。
意念はイメージの使い方次第で、現実の世界に縛られることなく無限に広がります。
自分の頭骸骨に内側から色を塗ったり、月に届くほどに軸を伸ばしたり、想像できることなら何でも有りで、それは現実の身体に影響を与えます。
また、意念は、自分の身体の内に及ぼす働きだけでなく、外向きに力を発する場合にも重要になり、意念の精度によって相手に働き掛ける力は大きく変わります。
◆糸を架し
相手のバランスが変化する場所に、緊張を引き出さないように、そっと触れます。【付ける】
そこから、息を吸いながら身体を張って、自分と相手の緩みを取ります。
糸電話の糸をピンと張ると声が伝わるように、お互いの緩みが取れて初めて、身体の中で起こっている微細な情報をやり取りできます。
呼吸を吸い上げて軸を伸ばし、体幹を締めながら四肢を張り、自分の内部の撓みを取ります。
両手の並びが前後でも左右でも、全方向へ呼吸の広がりを伝えられると、両手の間には引き分ける働きが起こります。
右手と左手を立体的に引き分けて間の糸をピンと張ると同時に、その両側を繋がる位置に近付けます。
どちらに動けば相手の緩みが取れるかは、自分の丹田の反応で聞き分けます。
合気の技を掛けられたときに頚を取られる感覚を、頚を決めたまま丹田で受け取って判別します。
緩みが取れたら、お互いのテンションをキープしたまま、自分の身体を弛めて行きます。
軸を立てたまま弛めることで、流れが指先まで伝わり、そのまま相手に流れ込んでいくように力を通します。【入れる】
手前で止まらないように意識を広げ、届いていく点のその先までイメージします。
こちらからの働き掛けに応じて、相手の身体にバランスを変えようとする反応が起こり、返答が返ってきます。
その行き先を邪魔しないように、自分を弛めたまま付いていきます。【抜く】
中の経路が繋がると、身体の持つ働きが高まり、バランスが整います。
相手の内部の繋がりに働き掛けることは、自分の内部の繋がりによってのみ可能となります。
〆管理人です
鍼通し 心の糸を 首に架け 張りを抜かずに 意図を抜く!?
参照1:気づきの呼吸法
動作をする時には、呼吸をお腹から胸、更には首にまで入れて臨界点まで緊張させるのですが、呼吸を保った状態(保息)で、首から胸そしてお腹へと順番に緊張を解いていく時の体内感覚の変化を、どの程度厳密に自覚できるかがポイントになります。
参照2:合気の為の体内操作
合気という定義することさえ難しいものを、私なりに使うための体内操作に関してまとめてみました。これらの操作をしながら、呼吸をして確かめることが必要です。呼吸による、体内のつながりや拡張及び収縮を感じることが大切です。
参照3:診断・治療における意念の意味
意念に関しては、自得するしかないと思いますが、やはり自分の身体の隅々までを認識するところから始めるべきではないかと考えています。合気の場合も、力学的な説明を心掛けているのですが、意念を使うのと使わないのとでは、それなりの違いがあると感じています。
参照4:合気とは何か
合気とは、五分五分の膠着状態を、こちらの有利な状況に変えてしまうための、身体の内部技術であり、「入れる」「付ける」「抜く」の三種類に分けることができるのではないかとの仮説を立ててみました。