生を十全に発揮し生くる |
▼『月刊全生』より、「全生訓」を引用させて頂きます。
眠ることより起きていることに魅力を感ずるよう生くること第一也
眠るも醒むるも快き呼吸つづけること全生の道也
溌刺と生くる者この人深い眠りがある。
生ききつた者にだけ、安らかな死がある。
生死自然也
生ありて死あり、死ありて生あり
生死別ならず
生死ともに自然こ願う
之全生の心也
生は苦也
死は楽也
生々と生くる者に苦多く、楽つづけば眠る也、ただ生々と生くる者、苦を苦とせずそこに潜む快を身につける也
〇
人に自己保存の要求あり、種族保存の要求あり、その要求凝りて、人産れ、育ち、生く。
もとより何の為に自己保存を為すか、種族保全を為すか知らず、ただ裡の要求によって行動するのみ……
何の為に産れ、何の為に生き、何の為に死するか人知らず。只裡の要求によって行動するのみ。
人ありて言う。国家を隆盛ならしむる為人は生くると。果して然るか。
人ありて言う。人類の繁栄に貢献せんが為に働くと。果して然るか。
人ありて言う。この学問を完成する為に吾は生くると。果して然るか。
之らは、自分で産れてから考え、つくった目的であって、本来あるものに非ず。されど、この目的のうちに種族保存の要求あることは確か也。その要求によって生の目的を樹てたる也、良きこと也。しかし何の為に産れ、何の為に死するか。その要求を知らざる限り、生の目標見定め難き也。
しかも目的なくも、ただただ生ききんと人は努めている也。
〇
人の生きんとするは人にあるに非ず、自然の生、人になり生きる也。
それ故、人に目的なくも生きんとし、産まんとし、人のつくった目的が成就しても尚生きていることあり、目的途中にでも、死する人あり。自然の生の案配、人のつくりし目的によらざる也。
自然、人を通じて生く
生死、命にあり
自然に順うこと、之生の自然也
人の生くること、生くる為也
その生を十全に発揮し生くること人の目的也
その為、人健康を快とし、いつも快く動く。その動きの鈍れる体を重しとし、その不調の体を自づと調律し、いつも健康への道に動きつづける也。
しかも、死あり快く動きて人は死に至る之自然也、生ありて不快、体ありて動かず之生の自然に非る也。
〇
人の生くる目的、人にあるに非ず。自然にある也、之に順う可し。順う限り、いつも溌刺として快也。
健康への道、工夫によりて在るに非ず。
その身の裡の要求に順つて生くるところに在る也。
いつも溌刺と元気に生くるは自然也、人その為に生く。
自然を征服するという人あり。厭やなうちは自然に順っている也。
死ぬまいとし、傷つくまいとしているうちは、自然の要求に動いている也。高い山に登っても、広い海を渡っても、征服に非ず、人工の眼をつくっても、手をつくっても、之征服に非ず、孫悟空の飛んだ釈迦の掌の中のこと也。
〇
自然に生くるとて髯を伸ばし、爪を伸ばし体を洗わず、煮焼きせぬもののみ食している人ある也。之他動物の自然の生き方にして、人の自然に非ず。
その具わる機関を十全にはたらかして生くること自然也。頭あらば頭を使うべし。手あらば手を使うべし。胃袋あらば胃袋を使うべし。
人の自然、四つ足で歩くことに非ず、
野に伏し、生のものを食べることに非ず。
感じ、考え、手足を使うこと也
笑うも、憎むも、喜怒哀楽するも自然也
火を使い、水を使い、雷を使うは人の智慧也、器物を使い、道具を使い、時を使うは人の智慧也。
そのもつ頭を使い、手を使うは自然也。
人その身を傷つけず、衰えしめず、いつも元気に全生すること人の自然也。
全生とは力を一パイに発揮していつも溌剌と生くること也。
〇
〆管理人です
野口晴哉先生が、「全生」について書かれた文章の一部です。
勝手に晩年の言葉だろうと思い込んで読んでいたら、続く説明で17歳の時に書かれたものだということを知り、心底驚きました。
思考の深さは、年齢では量れないものですね。
参照1:風声明語
健康の原点は自分の体に適うよう、飲み、食い、働き、眠ることにある。
そして、理想を画き、その実現に全生命を傾けることにある。
どれが正しいかは自分のいのちで感ずれば、体の要求で判る。
参照2:相手を知るための観察
人間はビクビク、クヨクヨ生きるために生れたのではない。その生の自然を輝かす為、溌刺といつも元気に生きるような構造をもって生れているのだ。その腕は使う事により太く達しくなり、その脚も歩むこと多ければ丈夫に頑丈になる。その頭も積極的に使えば発達し、その元気も惜しむ事なく分散すれば愈々(いよいよ)旺(さか)んになる。
参照3:整体という生活指導
私は出来るだけ人間は何もしないで丈夫でなくてはいけない、何もしないで自然に治ることが一番本当なんだと考えて、何もしないで元気に導くということをやっております。
参照4:生命を保つ為には自然のはたらきを活かす
体の自然というか、いのちの自然というか、兎も角そういうことを掴まえてしまうと、ただ心を静めて手を当てるだけで体の活力は動員される。
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