2008年 07月 16日
太陽神経叢を正しくはたらかせるには |
「丹田呼吸健康法 調和息入門」村木弘昌著からご紹介します。
太陽神経叢を活発にはたらかせるためには正しい腹圧のかけ方を身につけておく必要がある。胸にも一緒に圧のかかるような腹圧ではだめで、必ず呼吸とともに生ずる腹圧が必要だ。
近年、大脳皮質に新旧の二皮質があることがわかってきた。古い皮質は人間ばかりでなく脊椎動物のすべてにあるが、新しい皮質は人間特有の発達をしたものであり、ほかの動物と違ったいわゆる人間らしさを特徴づけているのは、この新しい皮質のおかげである。
「知を磨き心を練る」という言葉がある。この知を磨くというのは大脳の新皮質の訓練にあるが、心を練るというのは形而上の問題で、生体面では手がかりがないかというと、決してそんなことはなく、私は太陽神経叢の錬磨こそ心を練る手がかりになるものだと思っている。
第二の脳という表現は新しいものではない。すでに一八七〇年にアメリカのワイオミング州で発見された恐竜の頭と腰の二か所に脳のあることが報告されている。もっとも、この場合の第二の脳は、脊髄の腰椎にあたる部分に膨大部があり、これをさして第二の脳というわけだ。
しかし人間の場合の第二の脳は、腹脳ともいわれるように、腹腔内にある太陽神経叢をさしている。太陽神経叢は、絶えず上下に運動する横隔膜の直下にあり、そして腹部大動脈とその分枝(腹腔動脈および上勝間動脈)の上にまつわりついている。
太陽神経叢は前に述べたように、自律神経の集合体である。つまり交感神経(大小内臓神経および腰神経節)が左右合体してその全体の形があたかも太陽が光を発しているようであるため、このような名前がつけられている。
このように左右の自律神経が正中部において合体していることは胸腔内では見られず、腹腔内にのみ存在する現象である。腹腔内には太陽神経叢のほかに下腸間膜動脈神経節と下腹神経叢の集合体もあるが、太陽神経叢が最も見ばえがする神経細胞塊である。
これらの神経叢がすべて腹部大動脈およびその分枝の基部にまつわりついている点からみると、何か動を好む神経のように感じられる。特に太陽神経叢では絶えず上下動する横隔膜の直下にあることが、さらにその感を深くする。
太陽神経叢の位置はほぼ第十一~第十二胸椎の部分にあたり、それは親指ほどの大きさである。そして、その存在は胸椎の下部にあるが、あくまでも腹腔内である。それは横隔膜が上に向かってふくらみをもっているからで、あたかも腹腔が胸腔にせり込んでいるような形をしているためである。
太陽神経叢の位置を前面から見ると、それは心窩の真後ろにあたる。そして、この心窩を内方へくびれさせるとき、太陽神経叢は前面から最短距離となる。
腹腔の加圧減圧、つまり腹に力を入れたり、抜いたりを交互にすることで、横隔膜の運動による血流促進が起こり内臓の栄養は保たれ、それぞれの機能を発揮するわけだが、それが強力に行われるほど生体の運営は活発となる。腹腔の強い加圧と減圧は太陽神経叢の栄養をもよくし、その機能を充分に表すこととなろう。
私たちの体の調子が悪いという場合は、必ずといってよいほど横隔膜の運動が鈍っているときである。
たとえば、深い悲しみにうち沈んだときは顔色は悪くなり、食欲もなく、心臓も苦しくなる。この場合、顔色のよくないのは、血流の低下を表し、食欲不振は消化液の分泌低下であり、心臓が苦しくなるのは冠状動舵の栄養不足による。これはいずれも血流と自律神経の機能との低下を表している。
激しい怒りや、恐れ、驚き、そのほか種々の好ましくない情動もまた生体の運営を攪乱する。場合によっては、大脳の英知をもってしても処理できないものがある。その場合にこそ、第二の脳、つまり腹脳といわれる太陽神経叢を活用することによって生体の運営を正しい方向へ向けてやる必要がある。
第二の脳、太陽神経叢を練るのには、正しい腹圧のかけ方が必要となる。正しい腹圧が常にかけられるようになれば、太陽神経叢は活発にはたらき、生体は常に正しく運営されるわけだ。
私たちの日常生活においては、好ましい情動もあるが、その半面、好ましくない情動の数々があとを絶たない。そのような好ましくない情動の起きた場合には、第二の脳を充分に活用すべきである。また高度に進んだ人間文明の生活環境では、前に述べたように第二の脳のはたらきが鈍りがちとなるから、絶えずこの太陽神経叢を錬磨するように心がけたいものである。
第二の脳を錬磨すれば、今後ますます激増すると思われる自律神経の失調症やノイローゼも未然に防ぐことができる。
そして現代医学の大きな課題になっているところの現代成人病、つまり脳卒中、ガン、冠動脈性心臓疾患も、この第二の脳の活用によって前途に大きな光明を発見することを確信するものである。
参照1:何してるんやろうこの会
参照2:神経の訓練法
参照3:「神経訓練法」&「霊術」まとめ
参照4:第二の脳・太陽神経叢について
参照5:太陽脳 ~元気・夢・希望の源~
参照6:『あくび』をこらえる
参照7:呼吸法 レッスンの要点
参照8:センタリング呼吸法再考
参照9:センタリング呼吸法
太陽神経叢を活発にはたらかせるためには正しい腹圧のかけ方を身につけておく必要がある。胸にも一緒に圧のかかるような腹圧ではだめで、必ず呼吸とともに生ずる腹圧が必要だ。
近年、大脳皮質に新旧の二皮質があることがわかってきた。古い皮質は人間ばかりでなく脊椎動物のすべてにあるが、新しい皮質は人間特有の発達をしたものであり、ほかの動物と違ったいわゆる人間らしさを特徴づけているのは、この新しい皮質のおかげである。
「知を磨き心を練る」という言葉がある。この知を磨くというのは大脳の新皮質の訓練にあるが、心を練るというのは形而上の問題で、生体面では手がかりがないかというと、決してそんなことはなく、私は太陽神経叢の錬磨こそ心を練る手がかりになるものだと思っている。
第二の脳という表現は新しいものではない。すでに一八七〇年にアメリカのワイオミング州で発見された恐竜の頭と腰の二か所に脳のあることが報告されている。もっとも、この場合の第二の脳は、脊髄の腰椎にあたる部分に膨大部があり、これをさして第二の脳というわけだ。
しかし人間の場合の第二の脳は、腹脳ともいわれるように、腹腔内にある太陽神経叢をさしている。太陽神経叢は、絶えず上下に運動する横隔膜の直下にあり、そして腹部大動脈とその分枝(腹腔動脈および上勝間動脈)の上にまつわりついている。
太陽神経叢は前に述べたように、自律神経の集合体である。つまり交感神経(大小内臓神経および腰神経節)が左右合体してその全体の形があたかも太陽が光を発しているようであるため、このような名前がつけられている。
このように左右の自律神経が正中部において合体していることは胸腔内では見られず、腹腔内にのみ存在する現象である。腹腔内には太陽神経叢のほかに下腸間膜動脈神経節と下腹神経叢の集合体もあるが、太陽神経叢が最も見ばえがする神経細胞塊である。
これらの神経叢がすべて腹部大動脈およびその分枝の基部にまつわりついている点からみると、何か動を好む神経のように感じられる。特に太陽神経叢では絶えず上下動する横隔膜の直下にあることが、さらにその感を深くする。
太陽神経叢の位置はほぼ第十一~第十二胸椎の部分にあたり、それは親指ほどの大きさである。そして、その存在は胸椎の下部にあるが、あくまでも腹腔内である。それは横隔膜が上に向かってふくらみをもっているからで、あたかも腹腔が胸腔にせり込んでいるような形をしているためである。
太陽神経叢の位置を前面から見ると、それは心窩の真後ろにあたる。そして、この心窩を内方へくびれさせるとき、太陽神経叢は前面から最短距離となる。
腹腔の加圧減圧、つまり腹に力を入れたり、抜いたりを交互にすることで、横隔膜の運動による血流促進が起こり内臓の栄養は保たれ、それぞれの機能を発揮するわけだが、それが強力に行われるほど生体の運営は活発となる。腹腔の強い加圧と減圧は太陽神経叢の栄養をもよくし、その機能を充分に表すこととなろう。
私たちの体の調子が悪いという場合は、必ずといってよいほど横隔膜の運動が鈍っているときである。
たとえば、深い悲しみにうち沈んだときは顔色は悪くなり、食欲もなく、心臓も苦しくなる。この場合、顔色のよくないのは、血流の低下を表し、食欲不振は消化液の分泌低下であり、心臓が苦しくなるのは冠状動舵の栄養不足による。これはいずれも血流と自律神経の機能との低下を表している。
激しい怒りや、恐れ、驚き、そのほか種々の好ましくない情動もまた生体の運営を攪乱する。場合によっては、大脳の英知をもってしても処理できないものがある。その場合にこそ、第二の脳、つまり腹脳といわれる太陽神経叢を活用することによって生体の運営を正しい方向へ向けてやる必要がある。
第二の脳、太陽神経叢を練るのには、正しい腹圧のかけ方が必要となる。正しい腹圧が常にかけられるようになれば、太陽神経叢は活発にはたらき、生体は常に正しく運営されるわけだ。
私たちの日常生活においては、好ましい情動もあるが、その半面、好ましくない情動の数々があとを絶たない。そのような好ましくない情動の起きた場合には、第二の脳を充分に活用すべきである。また高度に進んだ人間文明の生活環境では、前に述べたように第二の脳のはたらきが鈍りがちとなるから、絶えずこの太陽神経叢を錬磨するように心がけたいものである。
第二の脳を錬磨すれば、今後ますます激増すると思われる自律神経の失調症やノイローゼも未然に防ぐことができる。
そして現代医学の大きな課題になっているところの現代成人病、つまり脳卒中、ガン、冠動脈性心臓疾患も、この第二の脳の活用によって前途に大きな光明を発見することを確信するものである。
参照1:何してるんやろうこの会
参照2:神経の訓練法
参照3:「神経訓練法」&「霊術」まとめ
参照4:第二の脳・太陽神経叢について
参照5:太陽脳 ~元気・夢・希望の源~
参照6:『あくび』をこらえる
参照7:呼吸法 レッスンの要点
参照8:センタリング呼吸法再考
参照9:センタリング呼吸法
by centeringkokyu
| 2008-07-16 00:01
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