2007年 10月 17日
骨盤底を意識する |
疲れない体をつくる「和」の身体作法ーー能に学ぶ深層筋エクササイズ 下掛宝生流能楽師 安田 登著からご紹介します。
◎リラックスと活性化を司る骨盤底
正座によって下実の体ができると、自然に丹田が意識されます。丹田の位置は1章で述べたように仙骨の二番目の前あたりといわれています。ちょうど骨盤の位置にあたります。
正座をして、丹田を意識する真人呼吸(後述)をすると、骨盤底がリラックスして活性化されるのです。
骨盤底は、身体的にはもちろんですが、精神的にも重要な部位です。どういうことか、説明しましょう。
体の中には何か問題が生じたときに、静かにしていれば自然に癒ろうとする力や機能があります。この機能をホメオスティシス(恒常性)といい、本来はすべての人にちゃんと備わっているのです。ところが私たちは問題が生じると必要以上にじたばたしてしまうために、この機能を十分に使うことができません。
この機能を十分に使うには「じたばたしないこと」、つまり「無為」が大切なのです。そしてこの無為こそ、ロルフィングでいう「明け渡し(surrender)」で、これを司る部位こそが骨盤底なのです。
しかし、無為といっても、ただ、だれてしまうこととは違います。適正なゆるみと適正なハリ、それが正しい無為であり、まさに「無為を為す」です。リラックスと活性化のいいバランスです。そして、それを司るのが骨盤底なのです。
また骨盤を形成する仙骨周辺には、副交感神経も交感神経も存在し、リラクゼーションや活性化の要がここにあるのです。
骨盤底が適正な状態になり、そこを意識できると、横隔膜と対応して、さらに深い呼吸、「骨盤底呼吸」を生み出すことができるようになります。ふつうの生活ではほとんど必要とされない呼吸なので、あまり知られていませんが、運動や音楽などをする人には大切な呼吸法です。これに関しては「全身呼吸」の項でエクササイズをしましょう。
◎骨盤底の横隔膜を使う=全身呼吸
横隔膜を使った呼吸法を練習してきましたが、骨盤底にも横隔膜があります。前者、いわゆる横隔股を「呼吸横隔膜」と呼び、骨盤底の横隔膜を「骨盤隔膜」あるいは「骨盤横隔膜」と呼びます。
呼吸横隔膜が聖堂の屋根だとすれば、骨盤底の横隔膜は聖堂の床です。
全身呼吸は、呼吸横隔膜だけではなく、骨盤横隔膜も使って行なう呼吸です。上部の呼吸横隔膜と下部の骨盤横隔膜を連動させることによって、より深い呼吸を行なうことができるようになります。さらにはその呼吸をしながら、体内の聖堂が息づいている、そういうイメージをしましょう。
◎エクササイズ11 全身呼吸
1.正座する
骨盤底をイメージしやすいように足を少し開いて正座をします。足の指は重ね
ず、両方の踵がちょうど坐骨の下にあるようにします。
2.骨盤底をイメージする
ふたつの坐骨と恥骨とで三角形の床が作られているのをイメージして座り、骨盤底をイメージします。
3.「骨盤底呼吸」をする
呼吸横隔膜に連動して骨盤底の横隔膜が上下するのをイメージします。息を吸うときに下に降り、吐くときに上がります。息を吸うときに坐骨が踵を押し付けるのを感じるでしょう。
4.聖堂の息遣いを感じる
骨盤底呼吸が自由にできるようになったら、聖堂の屋根である呼吸横隔膜と、聖堂の床である骨盤横隔膜の動きを意識して、体内の聖堂が息づいているのを感じながら、ゆったりとした「全身呼吸」をします。
#楽隠居です
センタリング呼吸法は、鼻から吸って鼻から吐くというのが基本です。口を使わない理由は、色々試してお考えください。骨盤底もセンタリング呼吸法では、恥骨・会陰・尾骨を順番に挟み込みながら、前・中央・後に分けて吸い上げることも稽古します。合気や剣術を稽古する中で、その重要性を検証していただきたいと思います。
太極棒もあと二回で終了です。呼吸に合わせて、骨盤・骨盤底・横隔膜を操作しながら、手の内と丹田のつながりを厳密にする稽古をしたいと思います。
前回の観照塾で、太極棒を色々なタッチで、あらゆる方向から叩いてみて、その響きを肚で感じる稽古をしていただきました。このような稽古が、脈診や手技など、治療関連技術の向上に役立つはずだと考えています。
次回は、相手からの力や意識に対して、こちらは無意識で反応できるような稽古もしてみたいと思いますのでよろしくお願い致します。
参照1:私見 7段階呼吸法
参照2:竹踏みの要領
参照3:合気の身体になれるかもしれない体操1〜4番
参照4:正しい呼吸法について
参照5:脈の確認と血圧測定
参照6:7段階呼吸法による竹踏み
◎リラックスと活性化を司る骨盤底
正座によって下実の体ができると、自然に丹田が意識されます。丹田の位置は1章で述べたように仙骨の二番目の前あたりといわれています。ちょうど骨盤の位置にあたります。
正座をして、丹田を意識する真人呼吸(後述)をすると、骨盤底がリラックスして活性化されるのです。
骨盤底は、身体的にはもちろんですが、精神的にも重要な部位です。どういうことか、説明しましょう。
体の中には何か問題が生じたときに、静かにしていれば自然に癒ろうとする力や機能があります。この機能をホメオスティシス(恒常性)といい、本来はすべての人にちゃんと備わっているのです。ところが私たちは問題が生じると必要以上にじたばたしてしまうために、この機能を十分に使うことができません。
この機能を十分に使うには「じたばたしないこと」、つまり「無為」が大切なのです。そしてこの無為こそ、ロルフィングでいう「明け渡し(surrender)」で、これを司る部位こそが骨盤底なのです。
しかし、無為といっても、ただ、だれてしまうこととは違います。適正なゆるみと適正なハリ、それが正しい無為であり、まさに「無為を為す」です。リラックスと活性化のいいバランスです。そして、それを司るのが骨盤底なのです。
また骨盤を形成する仙骨周辺には、副交感神経も交感神経も存在し、リラクゼーションや活性化の要がここにあるのです。
骨盤底が適正な状態になり、そこを意識できると、横隔膜と対応して、さらに深い呼吸、「骨盤底呼吸」を生み出すことができるようになります。ふつうの生活ではほとんど必要とされない呼吸なので、あまり知られていませんが、運動や音楽などをする人には大切な呼吸法です。これに関しては「全身呼吸」の項でエクササイズをしましょう。
◎骨盤底の横隔膜を使う=全身呼吸
横隔膜を使った呼吸法を練習してきましたが、骨盤底にも横隔膜があります。前者、いわゆる横隔股を「呼吸横隔膜」と呼び、骨盤底の横隔膜を「骨盤隔膜」あるいは「骨盤横隔膜」と呼びます。
呼吸横隔膜が聖堂の屋根だとすれば、骨盤底の横隔膜は聖堂の床です。
全身呼吸は、呼吸横隔膜だけではなく、骨盤横隔膜も使って行なう呼吸です。上部の呼吸横隔膜と下部の骨盤横隔膜を連動させることによって、より深い呼吸を行なうことができるようになります。さらにはその呼吸をしながら、体内の聖堂が息づいている、そういうイメージをしましょう。
◎エクササイズ11 全身呼吸
1.正座する
骨盤底をイメージしやすいように足を少し開いて正座をします。足の指は重ね
ず、両方の踵がちょうど坐骨の下にあるようにします。
2.骨盤底をイメージする
ふたつの坐骨と恥骨とで三角形の床が作られているのをイメージして座り、骨盤底をイメージします。
3.「骨盤底呼吸」をする
呼吸横隔膜に連動して骨盤底の横隔膜が上下するのをイメージします。息を吸うときに下に降り、吐くときに上がります。息を吸うときに坐骨が踵を押し付けるのを感じるでしょう。
4.聖堂の息遣いを感じる
骨盤底呼吸が自由にできるようになったら、聖堂の屋根である呼吸横隔膜と、聖堂の床である骨盤横隔膜の動きを意識して、体内の聖堂が息づいているのを感じながら、ゆったりとした「全身呼吸」をします。
#楽隠居です
センタリング呼吸法は、鼻から吸って鼻から吐くというのが基本です。口を使わない理由は、色々試してお考えください。骨盤底もセンタリング呼吸法では、恥骨・会陰・尾骨を順番に挟み込みながら、前・中央・後に分けて吸い上げることも稽古します。合気や剣術を稽古する中で、その重要性を検証していただきたいと思います。
太極棒もあと二回で終了です。呼吸に合わせて、骨盤・骨盤底・横隔膜を操作しながら、手の内と丹田のつながりを厳密にする稽古をしたいと思います。
前回の観照塾で、太極棒を色々なタッチで、あらゆる方向から叩いてみて、その響きを肚で感じる稽古をしていただきました。このような稽古が、脈診や手技など、治療関連技術の向上に役立つはずだと考えています。
次回は、相手からの力や意識に対して、こちらは無意識で反応できるような稽古もしてみたいと思いますのでよろしくお願い致します。
参照1:私見 7段階呼吸法
参照2:竹踏みの要領
参照3:合気の身体になれるかもしれない体操1〜4番
参照4:正しい呼吸法について
参照5:脈の確認と血圧測定
参照6:7段階呼吸法による竹踏み
by centeringkokyu
| 2007-10-17 00:06
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