2007年 09月 04日
脳と足の裏は直結している |
「足の裏からみた体ーー脳と足の裏は直結している」野田雄二著から抜粋してご紹介します。
◎二足直立歩行をあやつる系
こうした仕組みをあやつってスムーズな動きを司るのが脳です。直立していること自体が大変な作業であるのに加え、ヒトは歩き、そして走ります。生まれてしばらくの間はともかく、やがて立ち、じょうずに歩くようになり、また走れるようになります。それを正確に、そして微妙にコントロールしているのが脳なのです。
ヒトの運動は、脳や反射中枢などの神経系と、実際に身体を動かす筋肉・骨格系の両者が協調して、初めて実現します。いくら頭でこういう働きをしたいと考えても、それに応じて神経系に正しい信号が伝わり、筋肉が収縮しなければどうにもなりません。スポーツが苦手な人には思い当たることでしょう。
神経系の働きには、基本的に反射と連動制御があります。なかでも姿勢反射が直立姿勢を保つのに大きく係わっています。姿勢保持機能は、生体にとってある意味で恒常性(ホメオスターシス)、つまり生体を一定の状態に保とうとする機能です。この機構は、単純な反射のみによるのではなく、生体力学的なバランスの不均衡状態に、さまざまな調整機構が臨機応変に対応することによって成り立っています。筋肉の動きもその調整機構のひとつです。
ヒトの直立姿勢は物理的にみると非常に不安定な状態にあります。ヒトとまったく同じ形のマネキン人形を立たせても、ほんのわずかな外力を加えるだけでひっくりかえってしまいます。この不安定な姿勢を保つためには、多くの関節がしっかりと固定され、筋肉が適度な張力をもっていなければなりません。それでいてしなやかさも必要です。
すべての陸上生物は、誕生と同時に地球重力の影響を受けます。地球の重力に逆らって身体を支えなければならないのです。この重力に対抗する働きを抗重力機構といい、そのための筋肉群が抗重力筋です。不安定な直立姿勢を保つために、ヒトは他の四足動物に比べてこれが著しく発達しています。体幹や足脚部にある筋肉のほとんどが抗重力筋だと考えてよいでしょう。
二足直立歩行をするためには、まず直立姿勢を保つための神経機構が十分に発達し、その支配を受けた抗重力筋がうまく機能することが基本であるといえます。
◎歩かないのは万病のもと
「歩かなくなった」というのは、人間の行動から見た、現代社会の非常に大きな特徴だといえます。歩かないのが当然という認識は、おとなのみならず子供でさえ持ち始めています。しかし私は二足直立歩行が人間の基本である以上、身体的な問題がある場合を除いて、足をよく使い、歩くことが、人間として生活するうえでもっとも基本的なことであると考えています。
ヒトには約650種類の筋肉がありますが、その三分の二は、腰から下についています。ですから足をよく使うことは、筋肉を効率的に使うことになり、使わなければその影響は足だけでなく全身に及ぶわけです。カゼは万病のもとといいますが、歩かないのも万病のもとなのです。
足には筋肉が集中し、それにともなって数多くの血管がはりめぐらされています。
筋肉を使うと、筋肉収縮によって血管がしごかれるようになり、血液循環を促進します。そこで、数多くの血管がはりめぐらされている足は、第二の心臓ともいわれます。その足の自由を束縛し、かつ適切な運動と刺激を与えなければ、血行が悪くなり、結果的に全身の健康にも悪影響を与えるのは自明のことでしょう。
#楽隠居です
前回の合気観照塾では、「太極棒をなで回す」というところから始めました。太極棒の芯と中心を意識しながら、太極棒を擦るわけですが、身体の前に時計の文字盤があると考え、太極棒を真っ直ぐになっている時計の針に見立てて、12時ー6時や3時ー9時を指すように動かしてみました。
徐々に、手から腕にかけての動きが、呼吸や骨盤の動きと同調してくると、足の裏と畳との接点の移動も感じられるようになったはずです。
次に、体軸と太極棒の芯とが平行になるように注意しながら「雑巾絞り」を稽古しました。この動きは、「舟漕ぎ運動」の身体の動きと共通です。しかし、「舟漕ぎ運動」よりも体軸が細くなり、足の裏を擦るようにして動くことによって、薄筋も意識しやすくなったはずです。
参照1:足の裏から頭部までの繋がりを感じる
参照2:クレニオ・セイクラル・セラピー
参照3:足の裏でこする
少し読みにくいとは思いますが、「下肢の筋肉」の図もご紹介しておきます。
by centeringkokyu
| 2007-09-04 00:01
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