2006年 12月 12日
プロセスの失敗が成功をつくる |
前回のお題が「準備」でしたから、今回は「プロセス」ということになります。「世界一の職人が教える 仕事がおもしろくなる発想法」岡野工業 代表社員 岡野雅行著から、抜粋してご紹介します。
俺は「六割できると思えば仕事を引き受ける」と言うけれど、仕事は試行錯誤の連続だ。成功するまでは、失敗ばかりなんだ。そこでくじけるようなら成功はない。
失敗したら、またつくり直すだけだ。次にもっといいものをつくって成功させてやると燃え立つんだから、なんということはない。
失敗がなかったら、成功なんてない。
注射針の場合だって、量産化のために何百回もやり直している。仕事を進めていけば、それこそ次々と障害が出てくる。年がら年中、そんなことのくり返しだ。
さらに言うと、ついに金型が完成できたとしても、それで終わりなんてことはない。そうなったら今度はまた、「このままの金型ではもちが悪いから、もっともつものに変えよう。」といったことが出てくる。成功したら、さらに一歩先の努力に移っていくんだ。
だからね、プロセスの失敗なんてどんどんすればいいの。最後にそれを全部栄養にして成功してしまえば、勝ちなんだから。
ただ、いくら努力したって、戦線を広げすぎては勝てない。前にも「俺は脳外科だけで行く」と言った。自分の攻める分野を知らなければいけないよ。
何でもかんでもやろうとしたって、それは無理というものなんだ。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)から引用します。
岡野雅行・・・金属深絞り加工の世界的職人として知られ、従業員数6人の東京都墨田区の町工場でありながら、世界の大企業やNASAなどに注目され、製品が次々に採用される実績を持つ。講演、著書多数。
1972年、実父が創業した岡野金型製作所の2代目社長(自称「代表社員」)に就任、社名を岡野工業と改める。以後プレス加工へ進出、更には生産設備開発へと発展する。
現在では世界的にも技術を認められ、テレビ番組にも取り上げられたりと「世界的職人」や「中小企業の星」・「カリスマ職人」などの名を博しているが、依然として会社規模を少数精鋭で数名のままとし、他に真似のできない生産設備の開発を続けている。
講演では、かつての吉原界隈で噺家にまみれて過ごし身に付いた落語調の飾らない語り口でユーモアを交えて話すことから人気がある。ただ近年は余りに講演回数が多過ぎて本業に差し障るから…とやや控えているという。
なお「『出来ない』といわれると俄然成功させたくなる」という性格だと自身で述べており、「誰にも出来ない仕事をする」がモットーとのこと。
代表作
・リチウムイオン電池ケース
もともとはウォークマン用に開発したものだが携帯電話にスピンオフされた。液漏れによる事故を防ぐため、同部品は均一の金属板で作られる必要があるが、これを薄く亀裂の入りやすいステンレスの深絞り加工で実現した。かつて、ジッポーのライターのケースを作っていた技術が生きたという。
・痛くない注射針
針の先端が蚊の針とほぼ同じ外径200μm、内径80μm。シュリンジ側はΦ0.35mmと太くテーパになっている。理論物理学者にも不可能と言われたそれを、ステンレス素材のプレス加工で実現させた。医療機器メーカ、テルモからの依頼により開発。余談だがテルモは同社に依頼するまでに100社以上に「企画」を持ち込んだがすべて断られたという。同製品は「05年度グッドデザイン大賞」(日本産業デザイン振興会主催)にも選ばれている。
補足
仕事は遊びから生まれる
——誰にもできないものを作ろうというチャレンジ精神はどこから出てくるのですか。
岡野 優等生ではできません。優等生は小さいころから大学を出るまで、いろんなことで去勢されて教育されています。これをやったらダメ、これをやったら人に笑われると。ところが私たちみたいなのは自由放任で、勝手気ままに遊んでいましたから。仕事というのは遊ばなきゃできません。遊びの中から仕事というものは生まれてくるもんですよ。ですから理論じゃなくて感性です。遊びの中で感性を養っていくわけです。今の子供は遊び方が足りないと思います。人に与えられたもので遊んでいるので、自分の考えがないし発想力がないでしょう。それでは全く新しいものなんてできるわけがありません。
#楽隠居です
仕事でも、何かを身に付ける場合にでも、結局は試行錯誤の連続で、成功するまでは失敗だということですが、何をもって成功したと納得するかということも問題です。
合気でも治療でも、完成したと思える日は来ないかもしれません。しかし、自分の感覚が少しは変わったということに気づけることが、一番大切だと思います。正しい考え方や正しい動き方を求めるのではない、ということに気づいていただきたいのです。「諸行無常」なのですから・・・
生きている限り、最後には必ず死ぬのですから、生きている間の少しの変化を楽しめればいいのです。刻々と変化する人生のプロセスを楽しめると、新しい発想が生まれてくるかもしれません。
参照1:教えることは学ぶこと
参照2:習い・稽古・工夫
身体の変化や気付きのプロセスということで、こちらもお読みください。
俺は「六割できると思えば仕事を引き受ける」と言うけれど、仕事は試行錯誤の連続だ。成功するまでは、失敗ばかりなんだ。そこでくじけるようなら成功はない。
失敗したら、またつくり直すだけだ。次にもっといいものをつくって成功させてやると燃え立つんだから、なんということはない。
失敗がなかったら、成功なんてない。
注射針の場合だって、量産化のために何百回もやり直している。仕事を進めていけば、それこそ次々と障害が出てくる。年がら年中、そんなことのくり返しだ。
さらに言うと、ついに金型が完成できたとしても、それで終わりなんてことはない。そうなったら今度はまた、「このままの金型ではもちが悪いから、もっともつものに変えよう。」といったことが出てくる。成功したら、さらに一歩先の努力に移っていくんだ。
だからね、プロセスの失敗なんてどんどんすればいいの。最後にそれを全部栄養にして成功してしまえば、勝ちなんだから。
ただ、いくら努力したって、戦線を広げすぎては勝てない。前にも「俺は脳外科だけで行く」と言った。自分の攻める分野を知らなければいけないよ。
何でもかんでもやろうとしたって、それは無理というものなんだ。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)から引用します。
岡野雅行・・・金属深絞り加工の世界的職人として知られ、従業員数6人の東京都墨田区の町工場でありながら、世界の大企業やNASAなどに注目され、製品が次々に採用される実績を持つ。講演、著書多数。
1972年、実父が創業した岡野金型製作所の2代目社長(自称「代表社員」)に就任、社名を岡野工業と改める。以後プレス加工へ進出、更には生産設備開発へと発展する。
現在では世界的にも技術を認められ、テレビ番組にも取り上げられたりと「世界的職人」や「中小企業の星」・「カリスマ職人」などの名を博しているが、依然として会社規模を少数精鋭で数名のままとし、他に真似のできない生産設備の開発を続けている。
講演では、かつての吉原界隈で噺家にまみれて過ごし身に付いた落語調の飾らない語り口でユーモアを交えて話すことから人気がある。ただ近年は余りに講演回数が多過ぎて本業に差し障るから…とやや控えているという。
なお「『出来ない』といわれると俄然成功させたくなる」という性格だと自身で述べており、「誰にも出来ない仕事をする」がモットーとのこと。
代表作
・リチウムイオン電池ケース
もともとはウォークマン用に開発したものだが携帯電話にスピンオフされた。液漏れによる事故を防ぐため、同部品は均一の金属板で作られる必要があるが、これを薄く亀裂の入りやすいステンレスの深絞り加工で実現した。かつて、ジッポーのライターのケースを作っていた技術が生きたという。
・痛くない注射針
針の先端が蚊の針とほぼ同じ外径200μm、内径80μm。シュリンジ側はΦ0.35mmと太くテーパになっている。理論物理学者にも不可能と言われたそれを、ステンレス素材のプレス加工で実現させた。医療機器メーカ、テルモからの依頼により開発。余談だがテルモは同社に依頼するまでに100社以上に「企画」を持ち込んだがすべて断られたという。同製品は「05年度グッドデザイン大賞」(日本産業デザイン振興会主催)にも選ばれている。
補足
仕事は遊びから生まれる
——誰にもできないものを作ろうというチャレンジ精神はどこから出てくるのですか。
岡野 優等生ではできません。優等生は小さいころから大学を出るまで、いろんなことで去勢されて教育されています。これをやったらダメ、これをやったら人に笑われると。ところが私たちみたいなのは自由放任で、勝手気ままに遊んでいましたから。仕事というのは遊ばなきゃできません。遊びの中から仕事というものは生まれてくるもんですよ。ですから理論じゃなくて感性です。遊びの中で感性を養っていくわけです。今の子供は遊び方が足りないと思います。人に与えられたもので遊んでいるので、自分の考えがないし発想力がないでしょう。それでは全く新しいものなんてできるわけがありません。
#楽隠居です
仕事でも、何かを身に付ける場合にでも、結局は試行錯誤の連続で、成功するまでは失敗だということですが、何をもって成功したと納得するかということも問題です。
合気でも治療でも、完成したと思える日は来ないかもしれません。しかし、自分の感覚が少しは変わったということに気づけることが、一番大切だと思います。正しい考え方や正しい動き方を求めるのではない、ということに気づいていただきたいのです。「諸行無常」なのですから・・・
生きている限り、最後には必ず死ぬのですから、生きている間の少しの変化を楽しめればいいのです。刻々と変化する人生のプロセスを楽しめると、新しい発想が生まれてくるかもしれません。
参照1:教えることは学ぶこと
参照2:習い・稽古・工夫
身体の変化や気付きのプロセスということで、こちらもお読みください。
by centeringkokyu
| 2006-12-12 23:36
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