2006年 09月 22日
健身益寿功 |
前回の続きです。
健身益寿功の特徴
(1)高度な総合体系……第1功から第8功まで各々八つの動作から成り、全部で64の動きが含まれている。八つのうちの一つだけで立派に独立した功法として通用する総合的な体系を備えている。
(2)奇経八脈を重要視して構成されている。
(3)背骨の動きのバリエーションを多く含んでいる。
(4)動功は全身運動として行われる。
(5)外気を練習するための動功が数多く組み込まれている。
(6)道教の導引、中国武術の要素を数多く採り入れている。
各功法の目的
第一功 全身のリラックス 抖松功(とうしょうこう)
第二功 経絡に気を流す 通経功
第三功 背骨の運動 龍飛功
第四功 基本的な外気の練習 鳳舞功
第五功 丹田の気を手指に運ぶ運気の練習 蛇纏功(だてんこう)
第六功 高度な外気の練習 太極功
第七功 高度な空間意識を養う 円環功
第八功 自由に天地と交わる境地の達成 八卦功
健身益寿功の特徴
「健身益寿」は「からだを健康にして長生きさせる」という一般的な意味ですが、その内容は舌を巻くほど水準が高く、情報量の多いものです。八つの部分がそれぞれ八つの動作から成っていて、全部で64ということになりますが、普通ならこの八つのうちの一つだけで立派に独立した功法として通用するでしょう。
沈再文先生自身がビデオの中で語っているところを聞きましょう。
この“健身益寿功”は、わが家の家伝にもとづくものであり、私の父、兄と私が長年にわたって気功を練習してきた経験の集大成といえるでしょう。気功だけでなく、中国導引と太極拳、八卦掌、形意拳などの武術、そして中国医学のさまざまな精髄を含んでいるものです。
全体が8つの部分からできているが、その中心になっているのは背骨をやわらかく、自由に、蛇のように動かしていくことです。波のように動いたり、螺旋や円の動きをしながら、背骨をほぐし、全身のすべての関節をほぐします。こうしたやりかたは、体中の経絡を通していくだけでなく、とくに腎臓と、内分泌の関係を調整し、強めることができます。それは、からだのバランスを調え、健康を守ると同時に若返りと長寿の役に立ちます。
これは、ただの初歩的なリラックス運動ではなく、実際に真気を運行させることなので、各節の最初と最後に督脈・任脈を通し、帯脈をまわす“起式”と、その反対の順序でする“収式”とをつけ加えています。
これらの動きは、他の様々な気功や武術をやっていくときの基礎練習になり、その水準を引き上げる練習方法でもあります。熟練してくれば、それぞれの動きの中で、自分を超えて天地と一体になる境地を味わうことができるでしょう。
簡単明解な説明ですが、いくつか注釈しておくと、この気功法は、
(1)さまざまな気功・武術の精髄、エッセンスを集めて、それ自体はコンパクトだが背後に大きなひろがりのある練功体系であること。
(2)ゆすり、通経(外導内行)、背骨運動(龍系統)、四肢の関節運動(鳳系統)、腰と腕の対応した螺旋運動(蛇系統)、抱球運動(太極系統)、円環運動、八卦歩法という八つのサブシステムに気功のすべての身法及び気の運動技法を整理してみせたこと。
(3)全身のリラックス、経絡疏通、腎臓と内分泌活動の改善によって健康と若返り効果をもつこと。
(4)初歩的なほぐし運動の領域に属するものではなく、気功の本来の目的である真気運行法に属するものであること。
(5)しかし、たとえば太極拳や大雁功、鶴翔庄のような套路をもった気功でひとつの動作が一回か、せいぜい数回しかやられずに流されていくのと違って、健身益寿功の中では、すべての動作が繰り返し運動のパターンに翻訳されていること。
この最後の繰り返し運動というのは、上下にゆすり続けるとか、腕をずっと同じパターンで振るスワイショウとかだけでなく、たとえばⅥ太極部の「太極琵琶」や「太極探手」に見られるように、太極拳の中の「手揮琵琶」や「倒巻肱」の動作を連続して繰り返しやれるようにしたものも含まれています。
繰り返しパターンにすると、短くやることも長くやることもでき、何度もその実感を確認できるので、形の中に含まれた気の動きを十分に体得することがしやすく、繰り返しを通じてからだの中の自動調整作用(そのパターンに触発されつつ内部からほぐす)が引き出しやすく、また同じ繰り返しの中で脳が休息しやすく、入静しやすいという利点があります。
ここで入静というのは、気功状態の脳のことで、覚醒していながら深い安静状態になることです。ある動作が体操であるのか気功であるのかの別れ目は、入静状態を伴うかどうかにあります。次々と動作が連続していくものでは、よほど身につくまでは脳が緊張して入静しにくいし、他方で座禅のようにまったく動かずに悟れといわれても、また緊張もしてしまうので、繰り返し運動を通じて動きの中の入静を体験するのが最も近道といえます。
関西気功協会では創立以来30か月にわたって毎月「初級功法研究会」を開き、個々の指導者の個性によるのでない気功の「共通文法」がありうるかを検討してきました。そこにまっすぐ入門していけるための「気功入門システム」を探そうとしてきたのです。その結果たどりついた結論は、次第に複雑になる繰り返し運動こそが動作と入静を結合させ、ともかくも気功態を体験していくための最短の道だということでした。その基本的な思想はこの健身益寿功と同じといっていいと思います。しかし協会で試作した「8つのエチュード」などと比べると、健身益寿功の方がはるかに総合的で質の高い、高度にシステム化されたものです。
この健身益寿功は、それ自体が保険・治病・延年に役立つだけでなく、動作の中で入静しやすいという意味では健脳と心平気和に役立ち、さらに気功と中国武術の長い伝統の中で培われてきた「身法」の深い領域に入門していくためのとてもよい道であると言えるでしょう。
基本的な構成と、八つの部分の意味
具体的な動作の鋭明に入る前に、全体のしくみを概観しておきましょう。
各パートの始めと終わりに、「起式」「収式」が入ります。起式でいえば、最初に気持を静かに楽に立って、丹田を意守し、そこから意念の焦点を会陰におとし、尾骨から督脈にそって上げていきます。気が背中を上がるとともに両側にたらした手が両脇から上がって、頭の高さまでいきます。頭頂から胸、腹へと任脈にそって気が下がるにつれて両手は下へ下がります。こういう気のめぐりかたを小周天と呼んでいますが、はじめはそのように想像するだけでもよく、またイメージもむずかしければ、ただ動作をまねるだけでもいいです。
そのあと、今度は「帯脈に気を通す」動作をします。両手は腹の前で、お湯をかきまぜるように水平に時計回りに捻ります。それにつれて腰を水平に時計回りにまわします。つまり、まずベルトラインの右側が上下に伸びるように突き出され、後が伸び、左が伸び、さらにヘソが伸びて一回転するわけです。それだけでなく腰が右に行ったとき、右の腹側筋が緊張し、後に行ったとき腹直筋がヘソを大きく後に引っぱるように、左に行ったとき左の腹側筋か緊張し、前に行ったときすべてゆるむようにします。これを「おなかの玉をまわす」といいます。手と腰と腹中の玉とが同時に回転するわけです。3回したら、逆まわしにします。
収式も中身はこれと同じで、まず帯脈を逆時計まわりに3回まわし、時計まわりに3回まわし、小周天は起式と同様に3回まわします。動作だけまねればいいといっても、帯脈をまわす方は、この動作をまねるのもなかなか大変かもしれません。
詳しくは、配付資料102をご覧下さい。
健身益寿功の特徴
(1)高度な総合体系……第1功から第8功まで各々八つの動作から成り、全部で64の動きが含まれている。八つのうちの一つだけで立派に独立した功法として通用する総合的な体系を備えている。
(2)奇経八脈を重要視して構成されている。
(3)背骨の動きのバリエーションを多く含んでいる。
(4)動功は全身運動として行われる。
(5)外気を練習するための動功が数多く組み込まれている。
(6)道教の導引、中国武術の要素を数多く採り入れている。
各功法の目的
第一功 全身のリラックス 抖松功(とうしょうこう)
第二功 経絡に気を流す 通経功
第三功 背骨の運動 龍飛功
第四功 基本的な外気の練習 鳳舞功
第五功 丹田の気を手指に運ぶ運気の練習 蛇纏功(だてんこう)
第六功 高度な外気の練習 太極功
第七功 高度な空間意識を養う 円環功
第八功 自由に天地と交わる境地の達成 八卦功
健身益寿功の特徴
「健身益寿」は「からだを健康にして長生きさせる」という一般的な意味ですが、その内容は舌を巻くほど水準が高く、情報量の多いものです。八つの部分がそれぞれ八つの動作から成っていて、全部で64ということになりますが、普通ならこの八つのうちの一つだけで立派に独立した功法として通用するでしょう。
沈再文先生自身がビデオの中で語っているところを聞きましょう。
この“健身益寿功”は、わが家の家伝にもとづくものであり、私の父、兄と私が長年にわたって気功を練習してきた経験の集大成といえるでしょう。気功だけでなく、中国導引と太極拳、八卦掌、形意拳などの武術、そして中国医学のさまざまな精髄を含んでいるものです。
全体が8つの部分からできているが、その中心になっているのは背骨をやわらかく、自由に、蛇のように動かしていくことです。波のように動いたり、螺旋や円の動きをしながら、背骨をほぐし、全身のすべての関節をほぐします。こうしたやりかたは、体中の経絡を通していくだけでなく、とくに腎臓と、内分泌の関係を調整し、強めることができます。それは、からだのバランスを調え、健康を守ると同時に若返りと長寿の役に立ちます。
これは、ただの初歩的なリラックス運動ではなく、実際に真気を運行させることなので、各節の最初と最後に督脈・任脈を通し、帯脈をまわす“起式”と、その反対の順序でする“収式”とをつけ加えています。
これらの動きは、他の様々な気功や武術をやっていくときの基礎練習になり、その水準を引き上げる練習方法でもあります。熟練してくれば、それぞれの動きの中で、自分を超えて天地と一体になる境地を味わうことができるでしょう。
簡単明解な説明ですが、いくつか注釈しておくと、この気功法は、
(1)さまざまな気功・武術の精髄、エッセンスを集めて、それ自体はコンパクトだが背後に大きなひろがりのある練功体系であること。
(2)ゆすり、通経(外導内行)、背骨運動(龍系統)、四肢の関節運動(鳳系統)、腰と腕の対応した螺旋運動(蛇系統)、抱球運動(太極系統)、円環運動、八卦歩法という八つのサブシステムに気功のすべての身法及び気の運動技法を整理してみせたこと。
(3)全身のリラックス、経絡疏通、腎臓と内分泌活動の改善によって健康と若返り効果をもつこと。
(4)初歩的なほぐし運動の領域に属するものではなく、気功の本来の目的である真気運行法に属するものであること。
(5)しかし、たとえば太極拳や大雁功、鶴翔庄のような套路をもった気功でひとつの動作が一回か、せいぜい数回しかやられずに流されていくのと違って、健身益寿功の中では、すべての動作が繰り返し運動のパターンに翻訳されていること。
この最後の繰り返し運動というのは、上下にゆすり続けるとか、腕をずっと同じパターンで振るスワイショウとかだけでなく、たとえばⅥ太極部の「太極琵琶」や「太極探手」に見られるように、太極拳の中の「手揮琵琶」や「倒巻肱」の動作を連続して繰り返しやれるようにしたものも含まれています。
繰り返しパターンにすると、短くやることも長くやることもでき、何度もその実感を確認できるので、形の中に含まれた気の動きを十分に体得することがしやすく、繰り返しを通じてからだの中の自動調整作用(そのパターンに触発されつつ内部からほぐす)が引き出しやすく、また同じ繰り返しの中で脳が休息しやすく、入静しやすいという利点があります。
ここで入静というのは、気功状態の脳のことで、覚醒していながら深い安静状態になることです。ある動作が体操であるのか気功であるのかの別れ目は、入静状態を伴うかどうかにあります。次々と動作が連続していくものでは、よほど身につくまでは脳が緊張して入静しにくいし、他方で座禅のようにまったく動かずに悟れといわれても、また緊張もしてしまうので、繰り返し運動を通じて動きの中の入静を体験するのが最も近道といえます。
関西気功協会では創立以来30か月にわたって毎月「初級功法研究会」を開き、個々の指導者の個性によるのでない気功の「共通文法」がありうるかを検討してきました。そこにまっすぐ入門していけるための「気功入門システム」を探そうとしてきたのです。その結果たどりついた結論は、次第に複雑になる繰り返し運動こそが動作と入静を結合させ、ともかくも気功態を体験していくための最短の道だということでした。その基本的な思想はこの健身益寿功と同じといっていいと思います。しかし協会で試作した「8つのエチュード」などと比べると、健身益寿功の方がはるかに総合的で質の高い、高度にシステム化されたものです。
この健身益寿功は、それ自体が保険・治病・延年に役立つだけでなく、動作の中で入静しやすいという意味では健脳と心平気和に役立ち、さらに気功と中国武術の長い伝統の中で培われてきた「身法」の深い領域に入門していくためのとてもよい道であると言えるでしょう。
基本的な構成と、八つの部分の意味
具体的な動作の鋭明に入る前に、全体のしくみを概観しておきましょう。
各パートの始めと終わりに、「起式」「収式」が入ります。起式でいえば、最初に気持を静かに楽に立って、丹田を意守し、そこから意念の焦点を会陰におとし、尾骨から督脈にそって上げていきます。気が背中を上がるとともに両側にたらした手が両脇から上がって、頭の高さまでいきます。頭頂から胸、腹へと任脈にそって気が下がるにつれて両手は下へ下がります。こういう気のめぐりかたを小周天と呼んでいますが、はじめはそのように想像するだけでもよく、またイメージもむずかしければ、ただ動作をまねるだけでもいいです。
そのあと、今度は「帯脈に気を通す」動作をします。両手は腹の前で、お湯をかきまぜるように水平に時計回りに捻ります。それにつれて腰を水平に時計回りにまわします。つまり、まずベルトラインの右側が上下に伸びるように突き出され、後が伸び、左が伸び、さらにヘソが伸びて一回転するわけです。それだけでなく腰が右に行ったとき、右の腹側筋が緊張し、後に行ったとき腹直筋がヘソを大きく後に引っぱるように、左に行ったとき左の腹側筋か緊張し、前に行ったときすべてゆるむようにします。これを「おなかの玉をまわす」といいます。手と腰と腹中の玉とが同時に回転するわけです。3回したら、逆まわしにします。
収式も中身はこれと同じで、まず帯脈を逆時計まわりに3回まわし、時計まわりに3回まわし、小周天は起式と同様に3回まわします。動作だけまねればいいといっても、帯脈をまわす方は、この動作をまねるのもなかなか大変かもしれません。
詳しくは、配付資料102をご覧下さい。
by centeringkokyu
| 2006-09-22 00:03
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