2006年 09月 21日
外気発功法 |
沈再文先生のビデオ「健身益寿功」の解説からご紹介します。
1 新陳代謝と外気
すべての生物は新陳代謝によって外界と物質交換をしながら生きています。人間のからだからは熱や汗、赤外線や磁気などいろいろなものが出ています。しかし、ふつうの人の場合、これをそのまま外気として使うことはできません。特に外気を治療に応用しょうとすると、それなりの訓練が必要です。
外気には三つの特徴があります。ひとつは意識的に気を外に出すことです。二つめは、特別な訓練が必要だということです。外気発功をしたいと思ったら、まず練習しなければなりません。三番目は集中です。たとえば丹田に気を集中させ、それから胸、腕を通して、手から集中して出します。そうするとパワーが強くなります。この三つが、自然の新陳代謝と気功外気のちがうところです。
2 内気の練習の重要性
「倒丹」という言葉が中国にあります。丹は丹田の丹で、簡単に言えば、からだのなかでできる気の球ですね。倒丹というのは、自分はまだ内気が弱くて丹がしっかりできていないのに無理に気を外へ出すことで、からだが逆になることです。例えてみれば、貯金が十万円しかないのに十五万円、二十万円とカードで買物をするようなものです。これはからだにとってとても危険なことです。ですから、外気の治療をしようと思ったら、まず内気を十分に養わなければなりません。
内気を養うために、次のような功法を指導しています。
まず放松功。放松というのは、心もからだもリラックスすることで、気功の基本です。中国には「静坐乃生気之法」という言葉がありますが、静かに坐ってリラックスすると、内気が自然に出てきます。気功によって脳が日常とは違う安静状態に入ることを入静といいますが、内気を養うためには入静状態になることが必要です。放松功は入静するのにとてもいい気功です。
次は抜長功です。これは創元社のビデオ 『強壮気功健康法』 『強壮気功健康法Ⅱ』で実際のやり方をご紹介していますので、ご覧ください。とくにそのなかの意気昇降法と文武勁がいいと思います。
また健身益寿功の起式と収式もいいです。起式は任脈と督脈の気を巡らす小周天と帯脈に気を流す方法、それから通経功で奇経八脈に気を流す方法もあります。気功の外気では正経よりも奇経の方を重視しています。これはJICC出版局からビデオが出ています。
それから、保健長寿功という気功もあります。これも経絡の気を巡らせるいい気功です。このビデオはいずれ創元社から発売される予定です。
3 運気法
外気発功法をやる前に、外気の基礎訓練を十分やって、外気の力を養ってください。外気の基礎訓練としては、基礎練習法、発気練習法、発気動功などがありますが、これはビデオ『気功・外気練習法(基礎篇)』でご紹介していますので、ご覧ください。
気を動かす方法を運気法と言いますが、これは大きく二つに分けることができます。ひとつは発功法、もうひとつは収功法です。
発功法は、吸い込んだ気を丹田に沈め、その丹田の気を運んで手指と掌から発気する方法です。発功法は、吸う息を短くし、吐く息を長くすることによって、副交感神経を興奮させ、それによって末梢の血管が拡張し、気血が手にいきやすくなります。それで手が温かくなります。これは補の方法で、患者が虚証の場合に使います。発功法には基礎発功法、張指発功法、提肛全身発功法の三つがあります。
発功法とつぎの収功法のやり方も、ビデオ 『気功・外気練習法(基礎篇)』でご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。ここでは運気の経路についてご説明しておきましょう。
運気の経路にはつぎの三つがあります。
1.肺経−丹田−腹中−胸−腕の陰経−労宮または指
2.頭−肩−腕−手
3.丹田−会陰−命門−背骨−腕の陽経−指
発功法との関係で言うと、つぎのようになります。
基礎発功法 − 運気の経路1
張指発功法 − 運気の経路1・2
提肛全身発功法 − 運気の経路3
運気の経路3は小周天ができれば応用できます。これはむずかしいので、今回はくわしくご紹介しません。
治療するときの三つの使い分けですが、基礎発功法は、患者さんにやさしく気を入れるやり方ですので、いつでも使えます。もっと強く気を使いたいときは、張指発功法や提肛全身発功法をやったり、この二つを結び付けてやったりします。たとえば、基礎発功法では患者さんが気を感じにくい場合は、まず張指発功法と提肛全身発功法をやり、そのあとで基礎発功法をやるというように交互にやったりします。
もうひとつの収功法ですが、ふつう中国で収功というと、これで気功を終わるということです。しかし私は発功法と対応させる形で 別の独特な意味で使っています。発功法とは逆に、吸う息を長くし、吐く息を短くします。手の気を腕を通して上げ、口から出します。収功法をやると、手の色が白くなります。そして手が小さくなります。続けて五分くらいやれば手の温度が下がります。発功法が補であるのに対して、これは瀉です。患者さんが実証、熱症の場合に使います。これをやると、患者さんは涼しくなるような感じがします。ですから、熱や炎症をとるときにやると即座の効果があります。
収功法の穏やかなやり方を拉気(らき)法と言います。拉気法は患者さんの悪い気を出すのに使います。
収功法は少しきついので、からだが弱い方はあまりやらないようにしてください。
発功法と収功法が外気治寮のいちばん基礎の方法です。これは毎日練習して、うまくできるようになってください。
#楽隠居です
「合気の身体になれるかもしれない体操」の前半は外丹功の予備式ですので、まず張宇先生をご紹介をしました。後半は、「保険長寿功」ですから、沈再文先生の功法についてもご紹介しました。ただし、ここにご紹介したからといって、全てを素晴らしいとは言えないと思っています。実際に、沈先生の講習会で、沈先生が拉気(らき)法を使い過ぎたのか、顔が真っ黒になってしまわれたのを見たことがあります。ですから私は、営気よりも衛気を使うという考え方をお薦めしています。そして、無闇に発気しないで、身体の中の感覚を磨く功法をしっかり稽古するべきだと考えているのです。
基礎発功法も、私は気を発するというより、伝達系の稽古だと考えています。勁を伝えるという考え方をして頂きたいのです。しかし、ここで紹介されている功法は、身体の隅々までを認識するための功法として、本当に良くできていると断言できます。
ある時期から沈先生は、気ヒーリング・アーツという方向性で指導するようになられましたので、私は沈先生の講習会には出席しないようになりました。
ここでは、紹介されていませんが、「天地人 三才功」という功法のビデオもでています。この功法は、洗髄経を意識した功法だと思いますが、外丹功との共通部分もあると考えています。なぜか私も少しだけ、稽古風景の中で出てきます。
1 新陳代謝と外気
すべての生物は新陳代謝によって外界と物質交換をしながら生きています。人間のからだからは熱や汗、赤外線や磁気などいろいろなものが出ています。しかし、ふつうの人の場合、これをそのまま外気として使うことはできません。特に外気を治療に応用しょうとすると、それなりの訓練が必要です。
外気には三つの特徴があります。ひとつは意識的に気を外に出すことです。二つめは、特別な訓練が必要だということです。外気発功をしたいと思ったら、まず練習しなければなりません。三番目は集中です。たとえば丹田に気を集中させ、それから胸、腕を通して、手から集中して出します。そうするとパワーが強くなります。この三つが、自然の新陳代謝と気功外気のちがうところです。
2 内気の練習の重要性
「倒丹」という言葉が中国にあります。丹は丹田の丹で、簡単に言えば、からだのなかでできる気の球ですね。倒丹というのは、自分はまだ内気が弱くて丹がしっかりできていないのに無理に気を外へ出すことで、からだが逆になることです。例えてみれば、貯金が十万円しかないのに十五万円、二十万円とカードで買物をするようなものです。これはからだにとってとても危険なことです。ですから、外気の治療をしようと思ったら、まず内気を十分に養わなければなりません。
内気を養うために、次のような功法を指導しています。
まず放松功。放松というのは、心もからだもリラックスすることで、気功の基本です。中国には「静坐乃生気之法」という言葉がありますが、静かに坐ってリラックスすると、内気が自然に出てきます。気功によって脳が日常とは違う安静状態に入ることを入静といいますが、内気を養うためには入静状態になることが必要です。放松功は入静するのにとてもいい気功です。
次は抜長功です。これは創元社のビデオ 『強壮気功健康法』 『強壮気功健康法Ⅱ』で実際のやり方をご紹介していますので、ご覧ください。とくにそのなかの意気昇降法と文武勁がいいと思います。
また健身益寿功の起式と収式もいいです。起式は任脈と督脈の気を巡らす小周天と帯脈に気を流す方法、それから通経功で奇経八脈に気を流す方法もあります。気功の外気では正経よりも奇経の方を重視しています。これはJICC出版局からビデオが出ています。
それから、保健長寿功という気功もあります。これも経絡の気を巡らせるいい気功です。このビデオはいずれ創元社から発売される予定です。
3 運気法
外気発功法をやる前に、外気の基礎訓練を十分やって、外気の力を養ってください。外気の基礎訓練としては、基礎練習法、発気練習法、発気動功などがありますが、これはビデオ『気功・外気練習法(基礎篇)』でご紹介していますので、ご覧ください。
気を動かす方法を運気法と言いますが、これは大きく二つに分けることができます。ひとつは発功法、もうひとつは収功法です。
発功法は、吸い込んだ気を丹田に沈め、その丹田の気を運んで手指と掌から発気する方法です。発功法は、吸う息を短くし、吐く息を長くすることによって、副交感神経を興奮させ、それによって末梢の血管が拡張し、気血が手にいきやすくなります。それで手が温かくなります。これは補の方法で、患者が虚証の場合に使います。発功法には基礎発功法、張指発功法、提肛全身発功法の三つがあります。
発功法とつぎの収功法のやり方も、ビデオ 『気功・外気練習法(基礎篇)』でご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。ここでは運気の経路についてご説明しておきましょう。
運気の経路にはつぎの三つがあります。
1.肺経−丹田−腹中−胸−腕の陰経−労宮または指
2.頭−肩−腕−手
3.丹田−会陰−命門−背骨−腕の陽経−指
発功法との関係で言うと、つぎのようになります。
基礎発功法 − 運気の経路1
張指発功法 − 運気の経路1・2
提肛全身発功法 − 運気の経路3
運気の経路3は小周天ができれば応用できます。これはむずかしいので、今回はくわしくご紹介しません。
治療するときの三つの使い分けですが、基礎発功法は、患者さんにやさしく気を入れるやり方ですので、いつでも使えます。もっと強く気を使いたいときは、張指発功法や提肛全身発功法をやったり、この二つを結び付けてやったりします。たとえば、基礎発功法では患者さんが気を感じにくい場合は、まず張指発功法と提肛全身発功法をやり、そのあとで基礎発功法をやるというように交互にやったりします。
もうひとつの収功法ですが、ふつう中国で収功というと、これで気功を終わるということです。しかし私は発功法と対応させる形で 別の独特な意味で使っています。発功法とは逆に、吸う息を長くし、吐く息を短くします。手の気を腕を通して上げ、口から出します。収功法をやると、手の色が白くなります。そして手が小さくなります。続けて五分くらいやれば手の温度が下がります。発功法が補であるのに対して、これは瀉です。患者さんが実証、熱症の場合に使います。これをやると、患者さんは涼しくなるような感じがします。ですから、熱や炎症をとるときにやると即座の効果があります。
収功法の穏やかなやり方を拉気(らき)法と言います。拉気法は患者さんの悪い気を出すのに使います。
収功法は少しきついので、からだが弱い方はあまりやらないようにしてください。
発功法と収功法が外気治寮のいちばん基礎の方法です。これは毎日練習して、うまくできるようになってください。
#楽隠居です
「合気の身体になれるかもしれない体操」の前半は外丹功の予備式ですので、まず張宇先生をご紹介をしました。後半は、「保険長寿功」ですから、沈再文先生の功法についてもご紹介しました。ただし、ここにご紹介したからといって、全てを素晴らしいとは言えないと思っています。実際に、沈先生の講習会で、沈先生が拉気(らき)法を使い過ぎたのか、顔が真っ黒になってしまわれたのを見たことがあります。ですから私は、営気よりも衛気を使うという考え方をお薦めしています。そして、無闇に発気しないで、身体の中の感覚を磨く功法をしっかり稽古するべきだと考えているのです。
基礎発功法も、私は気を発するというより、伝達系の稽古だと考えています。勁を伝えるという考え方をして頂きたいのです。しかし、ここで紹介されている功法は、身体の隅々までを認識するための功法として、本当に良くできていると断言できます。
ある時期から沈先生は、気ヒーリング・アーツという方向性で指導するようになられましたので、私は沈先生の講習会には出席しないようになりました。
ここでは、紹介されていませんが、「天地人 三才功」という功法のビデオもでています。この功法は、洗髄経を意識した功法だと思いますが、外丹功との共通部分もあると考えています。なぜか私も少しだけ、稽古風景の中で出てきます。
by centeringkokyu
| 2006-09-21 00:07
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