2006年 09月 16日
釣り合い |
2002-10-23のコラムから転載します。
野球選手やアメリカン・フットボールの選手などの、スポーツ・ビジョン・アドバイザーをしている田村知則氏の本を読みました。
その本によりますと、多くの人の眼を調べるうちに、「外の眼」と「内の眼」をどのようなバランスで使っているか、その眼の使い方の傾向と、その人の性格や行動パターンには密接な関係があることに気が付いた。ですから、眼を調べるとその人の性格や発想回路まで推察できるということでした。詳しくは、「眼が人を変える」をお読みください。
同じような話で、歯を調べると、その人の性格や人生観まで分かるという記事や、歯の咬み合わせが、身体中の不調を引き起こすということを、自分で自分の歯を削ったり、いろいろな入れ歯をこしらえたりして、自分の身体で実験した歯科医の話もありました。
治療の分野では、数多くの人の背中を見続けた、整体協会の野口晴哉先生が、人間は身体のどの部位でストレスを受け止め、どのようにそれを処理するのかという観点から、12種類の体癖に分類しておられます。しかし、12種類というのは、あくまでも色で言えば原色で、多くの組み合わせで、様々なパターンがあるとも書かかれています。
一つの仕事を続けているうちに、それぞれの方が、何らかの法則性を発見されたのだと思いますが、誰でもがそういう法則性に気づくとは限りません。常に何か有るはずだと、探求し続ける姿勢が必要なのではないでしょうか。
さらに、ある女性の写真家は、スポーツジムに通い、自分の体重を常に一定になるようにコントロールして、身体中の筋肉を鋭敏にしておくことで、被写体の内奥にまで、意識を集中させることができ、鋭い感性が養えるという意味のことを書いておられました。
眼の周りの筋肉、顎を動かす筋肉、さらに、体中の筋肉とそれらに指令を与えるであろう脳。それらの微妙なバランスをコントロールすることが、職人技の世界でも大切なのだと思います。
例えば、鑢(やすり)を掛けるとどちらかに歪むというような、手癖というのもありますし、以前にコラムで書きましたように、右目と左目で、色の見え方が違うということもあります。極端な場合には、眼は開いているのに、ほとんど片方の眼は使わない癖がついていたりすることもあります。
そのような場合には、頭部は少しだけ、使っていない眼の方に傾きます。その傾いた重い頭を支えている首や肩、そして、それに関連する顎を動かす筋肉、更には腰・膝・足にまでその影響が出てくるはずです。
野口体操の野口三千三先生の言葉に、『重さのエネルギー効果は、力を抜いたとき、最もよく現われる。「ぶら下げの状態」とは、力を抜いて重さ(自然の力)に任せきった状態のことである。落下も飛翔も「重さ」による相対的な関係によって起こる現象である。地球上(宇宙)には、全く無秩序・雑然ということは起こりえない。つまり「重さ」による秩序が働くからである。』というのがありました。
また、古流武術の伝書「願流剣術物語」第43段に、『釣り合いと云う事 前に云う儘と云えども 万事の根本たる故に能々合点したき事也。人も水火の性剋して五行を釣り合う。鳥獣も同じ 鳥の鳥を取る事 鷹は釣り合いのよき故ぞ。人の人に勝も釣り合いの能き故ぞ。獣の獣に勝も釣り合い、鳥の空を飛ぶ事 翼を延びて空の風を扇ぎ飛行をなす。足なき物の地を走る性、魚の水に遊ぶも、皆釣り合い也。此の釣り合い離れれば、鳥は地に落ち、魚は水上に浮く也。此の流の宗と修行する事は、唯心の釣り合いを以て、身の釣り合いを勘ずべき事。』という記述があります。
私が普段目標にしているのは、「兼ね合いで 釣り合いとれて いい加減 過不足もなく 保つ中心」ということです。うまく自分の中心が保てていると、何らかの法則性に気づけるようになるかもしれませんから。
参照:イチローは天才ではない
こちらもどうぞ。
野球選手やアメリカン・フットボールの選手などの、スポーツ・ビジョン・アドバイザーをしている田村知則氏の本を読みました。
その本によりますと、多くの人の眼を調べるうちに、「外の眼」と「内の眼」をどのようなバランスで使っているか、その眼の使い方の傾向と、その人の性格や行動パターンには密接な関係があることに気が付いた。ですから、眼を調べるとその人の性格や発想回路まで推察できるということでした。詳しくは、「眼が人を変える」をお読みください。
同じような話で、歯を調べると、その人の性格や人生観まで分かるという記事や、歯の咬み合わせが、身体中の不調を引き起こすということを、自分で自分の歯を削ったり、いろいろな入れ歯をこしらえたりして、自分の身体で実験した歯科医の話もありました。
治療の分野では、数多くの人の背中を見続けた、整体協会の野口晴哉先生が、人間は身体のどの部位でストレスを受け止め、どのようにそれを処理するのかという観点から、12種類の体癖に分類しておられます。しかし、12種類というのは、あくまでも色で言えば原色で、多くの組み合わせで、様々なパターンがあるとも書かかれています。
一つの仕事を続けているうちに、それぞれの方が、何らかの法則性を発見されたのだと思いますが、誰でもがそういう法則性に気づくとは限りません。常に何か有るはずだと、探求し続ける姿勢が必要なのではないでしょうか。
さらに、ある女性の写真家は、スポーツジムに通い、自分の体重を常に一定になるようにコントロールして、身体中の筋肉を鋭敏にしておくことで、被写体の内奥にまで、意識を集中させることができ、鋭い感性が養えるという意味のことを書いておられました。
眼の周りの筋肉、顎を動かす筋肉、さらに、体中の筋肉とそれらに指令を与えるであろう脳。それらの微妙なバランスをコントロールすることが、職人技の世界でも大切なのだと思います。
例えば、鑢(やすり)を掛けるとどちらかに歪むというような、手癖というのもありますし、以前にコラムで書きましたように、右目と左目で、色の見え方が違うということもあります。極端な場合には、眼は開いているのに、ほとんど片方の眼は使わない癖がついていたりすることもあります。
そのような場合には、頭部は少しだけ、使っていない眼の方に傾きます。その傾いた重い頭を支えている首や肩、そして、それに関連する顎を動かす筋肉、更には腰・膝・足にまでその影響が出てくるはずです。
野口体操の野口三千三先生の言葉に、『重さのエネルギー効果は、力を抜いたとき、最もよく現われる。「ぶら下げの状態」とは、力を抜いて重さ(自然の力)に任せきった状態のことである。落下も飛翔も「重さ」による相対的な関係によって起こる現象である。地球上(宇宙)には、全く無秩序・雑然ということは起こりえない。つまり「重さ」による秩序が働くからである。』というのがありました。
また、古流武術の伝書「願流剣術物語」第43段に、『釣り合いと云う事 前に云う儘と云えども 万事の根本たる故に能々合点したき事也。人も水火の性剋して五行を釣り合う。鳥獣も同じ 鳥の鳥を取る事 鷹は釣り合いのよき故ぞ。人の人に勝も釣り合いの能き故ぞ。獣の獣に勝も釣り合い、鳥の空を飛ぶ事 翼を延びて空の風を扇ぎ飛行をなす。足なき物の地を走る性、魚の水に遊ぶも、皆釣り合い也。此の釣り合い離れれば、鳥は地に落ち、魚は水上に浮く也。此の流の宗と修行する事は、唯心の釣り合いを以て、身の釣り合いを勘ずべき事。』という記述があります。
私が普段目標にしているのは、「兼ね合いで 釣り合いとれて いい加減 過不足もなく 保つ中心」ということです。うまく自分の中心が保てていると、何らかの法則性に気づけるようになるかもしれませんから。
参照:イチローは天才ではない
こちらもどうぞ。
by centeringkokyu
| 2006-09-16 23:42
| 日常