2006年 04月 12日
瞬間 |
画家の山口華楊先生は「絵がかきたうて」の中で、以下のように書かれています。
動物は人間のようにじっとしていてくれない。気ままに走り回ったり、こちらに背を向けて寝転んでしまったりで、なかなかこちらの思い通りにはならないのである。しかし、構えないありのままの姿にこそ、自然の本態が現われるということがある。私はそこに魅力を覚える。
絶えず動き回っている動物を相手に、私は四方八方、いろいろな角度から写生をする。それも必ずしも全体の姿をとらえるのではなしに、足なら足、手なら手だけというように、部分の図を何枚も描いてみる。それを積み重ねていくと、その動物の本当の姿が見えてくる。そして、自分と動物が一体になったと思える瞬間がくる。喜びを感じるのはそのような時だ。(略)
同じ生き物同士、こちらと対象の気持ちとがピタッと一致して霊感のようなものを感じたとき、ひとつの絵になる要素ができる。この霊感と写生と構想とで絵になるのである。
また、華楊先生の師匠である、五雲先生の教えとして、次のようなことを書かれています。
ただ細かく見るのではなく、よく見ることが大切である。感動して見ることが出来るのはほんの一瞬でしかない。何枚も何枚も写生をしても、感動できるのはわずかな瞬間である。それを描かなくてはいけない——と師匠は常々語った。
風を受けてしなう柳の枝はいつ見ても同じようだが、そよぎ揺れる繰り返しの動きの中に、ものの本質がよくあらわれる一瞬があるというのである。おそらく柳の枝のしなやかさと勁(つよ)さが釣り合う瞬間なのであろう。それを見抜いて描かなければならないと言われれば、絵とは深いものだと思わざるを得なかった。
抜粋はここまでです。画家の感性というのは、本当に素晴らしいと思います。初期の頃、大東流のOS先生の講習会に参加させて頂いていた時に、私は何も分からないながら、手の形、足首の使い方、袴の裾と紐が揺れる時の微妙な時間差などと、自分なりにテーマを決めて、部分的に分けて見るようにしていました。
ある時の講習会に、非常に敏感な方が参加しておられて、先生が少し動こうとされただけで、反応して固まってしまわれるのを見ました。何故あんなふうになるのだろうかと、注意して見ていますと、袴でうまく見えないのですが、どうも先生が股関節を締めた瞬間に反応するような感じでした。それで、股関節を締めるということの大切さを再認識したのです。
下の絵は山口華楊先生が昭和50年に製作された「仔豹」です。以前、展覧会でこの作品を見た時には、一緒に数多くの豹のデッサンが展示されていました。そういえば、大阪のおばちゃんは、何故かヒョウ柄が大好きでしたねぇ〜
動物は人間のようにじっとしていてくれない。気ままに走り回ったり、こちらに背を向けて寝転んでしまったりで、なかなかこちらの思い通りにはならないのである。しかし、構えないありのままの姿にこそ、自然の本態が現われるということがある。私はそこに魅力を覚える。
絶えず動き回っている動物を相手に、私は四方八方、いろいろな角度から写生をする。それも必ずしも全体の姿をとらえるのではなしに、足なら足、手なら手だけというように、部分の図を何枚も描いてみる。それを積み重ねていくと、その動物の本当の姿が見えてくる。そして、自分と動物が一体になったと思える瞬間がくる。喜びを感じるのはそのような時だ。(略)
同じ生き物同士、こちらと対象の気持ちとがピタッと一致して霊感のようなものを感じたとき、ひとつの絵になる要素ができる。この霊感と写生と構想とで絵になるのである。
また、華楊先生の師匠である、五雲先生の教えとして、次のようなことを書かれています。
ただ細かく見るのではなく、よく見ることが大切である。感動して見ることが出来るのはほんの一瞬でしかない。何枚も何枚も写生をしても、感動できるのはわずかな瞬間である。それを描かなくてはいけない——と師匠は常々語った。
風を受けてしなう柳の枝はいつ見ても同じようだが、そよぎ揺れる繰り返しの動きの中に、ものの本質がよくあらわれる一瞬があるというのである。おそらく柳の枝のしなやかさと勁(つよ)さが釣り合う瞬間なのであろう。それを見抜いて描かなければならないと言われれば、絵とは深いものだと思わざるを得なかった。
抜粋はここまでです。画家の感性というのは、本当に素晴らしいと思います。初期の頃、大東流のOS先生の講習会に参加させて頂いていた時に、私は何も分からないながら、手の形、足首の使い方、袴の裾と紐が揺れる時の微妙な時間差などと、自分なりにテーマを決めて、部分的に分けて見るようにしていました。
ある時の講習会に、非常に敏感な方が参加しておられて、先生が少し動こうとされただけで、反応して固まってしまわれるのを見ました。何故あんなふうになるのだろうかと、注意して見ていますと、袴でうまく見えないのですが、どうも先生が股関節を締めた瞬間に反応するような感じでした。それで、股関節を締めるということの大切さを再認識したのです。
下の絵は山口華楊先生が昭和50年に製作された「仔豹」です。以前、展覧会でこの作品を見た時には、一緒に数多くの豹のデッサンが展示されていました。そういえば、大阪のおばちゃんは、何故かヒョウ柄が大好きでしたねぇ〜
by centeringkokyu
| 2006-04-12 00:06
| 合気観照塾