2015年 06月 10日
イメージと気の鍼 |
▼神田橋條治 精神科講義 林 道彦・かしまえりこ編
P281
・「邪気がある」というのはどういうことかというと、そこで一所懸命、生体が闘っているということです。苦しんでいる。
・漢方をこの邪気に向かってふわーっと向けて、漢方のエキス剤は130ぐらいあるんだけど、合うのはないかなとやったら、125番を持ってくると邪気が薄くなるんだよね。
P282
・125番というのは、桂枝子茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)で、宮筋腫のある人に使うと、ある種の子宮筋腫は溶けてなくなるので覚えておくといいです。それから子宮内膜症の人にも効く。「これを処方する」とイメージしてみると、何となくちょっといいし、害はなさそうだから、これを出してみることにしました。
P290
・正しいことをやっている先生は、たいてい治療が下手なの。間違ったことをせんからね。やっぱり権威者だから、間違ったことをしないように注意しながら治療されるから、たいてい駄目なの。
P312
・昭和の漢方復興の中心になられた人に大塚敬節先生という方がおられて、「術ありて 後に学あり 術なくて 咲きたる学の 花のはかなさ」という言葉を残しておられます。
「術」というのは「技」です。患者を治すということ。医術があってそしてその積み上げとして「学」が出てくるはずなのに、治しきらんで、「学」ばっかり言うとるのは、見かけはきれいでもはかないよ、というふうに言われています。
・みなさんが、講習会なんかに行って、いろいろなことを学んでこられる。賢くなって、頭がよくなって、で、帰ってきてみんなに「学会でこういうことを習った」とか、「こういうことを覚えてきた」とか言っても、それは「知」の世界だけのことです。
「知」が現場で何かの形で「技」として使われたときに初めて、使われたことの結果からもう一度、学んできた「知」」というのもは噛みしめられたり、「ここんとこが大事だったんだ」とか「ここのところは場合によってはちょっと違うんだ」とかいうようにして、意味が分かったりして、「知」がもう少し身につく。
P329
・「経絡というものは、『体が治療をしてほしいと言って浮き出てくる』と古典に書いてあります。」
P330
・中村芝翫が、「だってね、着物のなかの体が見えなければ、踊りの指導なんかできっこありませんよ」とさらっと言ったの。だから芝翫はできるわけだ。
P333
・指先で感覚的に、横になでると、邪気を感じる、手で触って、経絡のところを横切った瞬間に「ああ、なんか嫌な感じね」という感じになる、そこに経絡があるんです。その経絡をたどっていくと、邪気が強いところがある。ずうっと触っていって、邪気が強いところがあって、体の先端から触っていっても、軀幹側から触っていっても邪気が強いところがある。それがツボなの。
・濃い邪気の中心に、邪気の全然ないところがあるんです。だいたい直径が1ミリの数分の1ぐらいの幅。これを模式化すると、台風の目と同じ。
P334
・鍼の名人たちは最終的にはどうなるかというと、鍼を刺さなくなるの。提鍼という鍼。ここの台風の目のところに鍼を持っていって、止めるの。そして刺さないで、ただ目の中心へ向けているだけです。
・それでボクは、「気の鍼」というのを考えたの。気、イメージでの鍼です。イメージの鍼だったら、無限に細い鍼になる。それを持ってきてやるといい。それをシューッと押し込んでいく。押し込んでいくと言っても、イメージでです。
・押し込んでいくとどうなるかというと、これが面白いの。どこかまで入るとムッといやな感じのするところがあって、そしてそのちょっと奥に、いやな感じが消える目があるの。そこに到達したら、それ以上、進めるのをやめて、時計回りか反時計回りかに気の鍼を回す。
P335
・体表のツボからのルートがあるなら、こっちで刺さずに、気の鍼を体のほうで吸い込んでもらう。「お願いだから、吸い込んで」と念じると、イメージの鍼がスーッと吸い込まれるの、ちゃんと吸い込んでくれる。そうなると何もしなくていいのよ。気の鍼をただ置いといて、「吸い込んで、吸い込んで、吸い込んで」と念じる。
・この気の鍼のいい点は、物質じゃないから脳に刺せるの。頭蓋骨を「通過」とか言って(笑)、脳にシューッと刺せる。
#楽隠居です
この本に関しては、てるてるぼーずさんに教えていただきました。
P49には、『ミルトン・エリクソンの世界に近づいていたのです。』と書かれていますし、経歴には、『1971年から72年まで、モーズレイ病院、ならびにタビストックに留学。』
なかなか興味深い経歴ですね。
☆モーズレイ病院(英: Maudsley Hospital)はイギリスのロンドン南部にある精神病院である。モーズレイ病院はイギリス最大のメンタルヘルスの研修機関である[1]。
☆タビストック人間関係研究所(Tavistock Institute of Human Relations)は、研究、コンサルティング及びプロフェッショナル・デベロップメント[1]を行う非営利組織である。
タビストック人間関係研究所は、1947年9月にタビストック・クリニックのエリオット・ジャックスらによって正式に設立された[2]。英国における精神分析理論の拠点の一つとしても知られている[3]。精神病理学、臨床心理学の分野で著名なタビストック・クリニックは研究所の母体である。
参照1:カタレプシー
参照2:許容的なアプローチ
参照3:内なる変化
参照4:相手の変化を導くアプローチ
参照5:読書の秋?
参照6:タヴィストック洗脳研究所
☆リンク先で更新された記事
by centeringkokyu
| 2015-06-10 00:02
| 神田橋條治