2014年 02月 14日
心の色 |
一刀流極意から抜粋してご紹介します。
第二項 色 付
一、不付使付
敵と互に見合いして、敵の色に迷うと敵の本性を見誤まり、欺かれて魂まで亡ぼすことになる。色はかりの影であるから実からも出ることもあるが、不実からも出ることもある。それにもしわれは色眼鏡をかけて見たらみなそれに染まって見える。また「巧言令色仁すくなし」ともいう。要するに勝は色に付かず実をとらえることにある。敵と相対しその丈が高いのに目を上に向け足許のことを見ず、低いのに心取られ飛出して高い所に打ってくることを察せず、あるいは敵の太刀の物々しい構の形相に驚き、怒号の懸声に懼(おそ)れ、勢にひるみ、敵の切先の攻めの所作に気を奪われ、心が動転するのはみな敵の色につく所である。そうなるとわが弱点が見すかされ追立てられてわが施すべき技が出でず、人に致されて負けとなる。
色付の第一の教は敵の色に付かないように修練することである。敵がどのようにいかつい構でどんなに脅かしても、またはことさらに隙を見せて誘っても、それらに動かされることなく、われから自主的に働らき、敵が左から打とうとせばわれは右からかけ、敵が上から来ようとせばわれは下から攻め、凡て敵の示す色の意表に出で逆逆と敵の不都合な所に働らいて出ると敵は遅れわれは進んで必ず勝てるものである。
第二の教は敵の色を見て、そのよって出る源の実体を見極わめ、それから続いてくる技の行く末を見透し、敵の太刀生滅の機を捉え、その所にホンショウを以て勝つべきである。雨雲の去来を見てその兆候に構え傘を携えて外出するような所である。
第三の教はわれから進んで色をかけ、色々な色付きで敵を誘いおびき出し、思う存分に引きまわし、敵の持っているよい技をみな出させ、敵が尽きて虚となった所をイヨウリユウ(威用流)の極意を用いわが実をもつて快よく勝つべきである。
第四の教は敵のかけた色にわれは付いたと見せ、敵にこれでうまく行ったと思わせ安心させると、敵はいよいよわれをものにしようとて、なにもかも色仕掛けでさらけだす、そこへわれはその色についたように乗って見せて、初めから固く保ったわが主心を働らかせて敵をずばりと打ち取るのである。
二、色即是空
敵と相対しわれから色を見せ、好餌を示して誘うと引懸かってくる敵であるならこれを引懸け、わが思う壷に篏めて搦め取る。また脅かす色を見せると恐れて逃げる敵なら、その動いて退く所を打取る。これはすなわち敵の色即是空の例である。また色にて引張られず追込めない敵であるならば、遠くに見すましてその起こってくる色の所を切るのである。敵から起ってこなかったら、われから烈しく切込み突込み、敵の気を乱しその乱れを乗切つて勝つべきである。この乱れは即ち空即是色の所である。
三、無色の色
敵の色に溺れると敗亡し、わが色に耽けると自滅する。われから切出さんとする念が頻りに動いてその念が色に現れ、切先の締りが抜けて自然と高くなり、また突くと思うて切先が下がり、体が前にのめり出すと、巧者な敵はわが攻めの色に恐れて逃げることをせず、却ってこれに乗じ、わが技が効を奏する先にわれを迎え突く。これはわれがわが色にうぬぼれているからである。
すべて色仕掛はひがごと【僻事〔古くは「ひがこと」とも〕 ① 事実に合わないこと。まちがい。 ② 道理に合わないこと。悪事。】である。無色の色とは心の色が体の色を伴わないことである。敵の切先が上がればわが心の切先もこれに対して上がるものであるが、太刀の切先をはずして下げると敵の構は死ぬ。敵の切先が下がるとわが心の切先も下げてつけるのであるが、わが太刀の切先を正眼につけて出ると、敵の構は死物になる。これはわが心の無色の色を形に現わさずして働らかせる即ち無色の色で敵に対する所である。無色の色となれば敵はわれを窺うことができない。しかも敵の有色の実体はことごとくわが心の鏡に明らかに写りわが無相の勝が成るものである。
参照1:考えている暇は無い?
参照2:鎖につながれた象
参照3:力やスピードを求めず 力を使わない
参照4:介者截合に於けるところの極意
【配付資料109】
第二項 色 付
一、不付使付
敵と互に見合いして、敵の色に迷うと敵の本性を見誤まり、欺かれて魂まで亡ぼすことになる。色はかりの影であるから実からも出ることもあるが、不実からも出ることもある。それにもしわれは色眼鏡をかけて見たらみなそれに染まって見える。また「巧言令色仁すくなし」ともいう。要するに勝は色に付かず実をとらえることにある。敵と相対しその丈が高いのに目を上に向け足許のことを見ず、低いのに心取られ飛出して高い所に打ってくることを察せず、あるいは敵の太刀の物々しい構の形相に驚き、怒号の懸声に懼(おそ)れ、勢にひるみ、敵の切先の攻めの所作に気を奪われ、心が動転するのはみな敵の色につく所である。そうなるとわが弱点が見すかされ追立てられてわが施すべき技が出でず、人に致されて負けとなる。
色付の第一の教は敵の色に付かないように修練することである。敵がどのようにいかつい構でどんなに脅かしても、またはことさらに隙を見せて誘っても、それらに動かされることなく、われから自主的に働らき、敵が左から打とうとせばわれは右からかけ、敵が上から来ようとせばわれは下から攻め、凡て敵の示す色の意表に出で逆逆と敵の不都合な所に働らいて出ると敵は遅れわれは進んで必ず勝てるものである。
第二の教は敵の色を見て、そのよって出る源の実体を見極わめ、それから続いてくる技の行く末を見透し、敵の太刀生滅の機を捉え、その所にホンショウを以て勝つべきである。雨雲の去来を見てその兆候に構え傘を携えて外出するような所である。
第三の教はわれから進んで色をかけ、色々な色付きで敵を誘いおびき出し、思う存分に引きまわし、敵の持っているよい技をみな出させ、敵が尽きて虚となった所をイヨウリユウ(威用流)の極意を用いわが実をもつて快よく勝つべきである。
第四の教は敵のかけた色にわれは付いたと見せ、敵にこれでうまく行ったと思わせ安心させると、敵はいよいよわれをものにしようとて、なにもかも色仕掛けでさらけだす、そこへわれはその色についたように乗って見せて、初めから固く保ったわが主心を働らかせて敵をずばりと打ち取るのである。
二、色即是空
敵と相対しわれから色を見せ、好餌を示して誘うと引懸かってくる敵であるならこれを引懸け、わが思う壷に篏めて搦め取る。また脅かす色を見せると恐れて逃げる敵なら、その動いて退く所を打取る。これはすなわち敵の色即是空の例である。また色にて引張られず追込めない敵であるならば、遠くに見すましてその起こってくる色の所を切るのである。敵から起ってこなかったら、われから烈しく切込み突込み、敵の気を乱しその乱れを乗切つて勝つべきである。この乱れは即ち空即是色の所である。
三、無色の色
敵の色に溺れると敗亡し、わが色に耽けると自滅する。われから切出さんとする念が頻りに動いてその念が色に現れ、切先の締りが抜けて自然と高くなり、また突くと思うて切先が下がり、体が前にのめり出すと、巧者な敵はわが攻めの色に恐れて逃げることをせず、却ってこれに乗じ、わが技が効を奏する先にわれを迎え突く。これはわれがわが色にうぬぼれているからである。
すべて色仕掛はひがごと【僻事〔古くは「ひがこと」とも〕 ① 事実に合わないこと。まちがい。 ② 道理に合わないこと。悪事。】である。無色の色とは心の色が体の色を伴わないことである。敵の切先が上がればわが心の切先もこれに対して上がるものであるが、太刀の切先をはずして下げると敵の構は死ぬ。敵の切先が下がるとわが心の切先も下げてつけるのであるが、わが太刀の切先を正眼につけて出ると、敵の構は死物になる。これはわが心の無色の色を形に現わさずして働らかせる即ち無色の色で敵に対する所である。無色の色となれば敵はわれを窺うことができない。しかも敵の有色の実体はことごとくわが心の鏡に明らかに写りわが無相の勝が成るものである。
参照1:考えている暇は無い?
参照2:鎖につながれた象
参照3:力やスピードを求めず 力を使わない
参照4:介者截合に於けるところの極意
【配付資料109】
by centeringkokyu
| 2014-02-14 00:03
| 一刀流極意など