2012年 01月 26日
合気探究と練功法 |
▼大東流合気柔術の技術体系
合気の技を創意工夫しながら、思いつきで教えていたという説には納得してしまいます。OS先生に教えて頂いていた頃は、先生に技をかけていただく場合は、何人かで相談して「ふわっと持つ人」「ガッチリ持つ人」「気持ちを動かさないようにして、ぴったり持つ人」と、役割分担して稽古しました。そうすると、先生の技が変わってしまうので、なかなか面白い稽古ができました。勿論、型の保存会には成り得ない稽古方法でした。
前提条件が変わると、当然ですが技が変わってしまう訳です。その上、持ち方の癖や身体の使い方の癖によって、技をかけられた場合の反応の仕方も変わります。ですから、いろいろな持ち方や攻撃の仕方に、臨機応変に対応する稽古が必要で、稽古の中で合気の通りを感じながら、自分も身体内部のつながりや力の出し方を工夫することが大切になります。
佐川先生は、合気はゆっくりかけることが大切だと言っておられたとか・・・
六方会の岡本先生も、同じ技を早くかけたり、ゆっくりかけたりして下さったと書かれていたと思います。
▼合気習得過程までの過程
、私は合気柔術を習いながら、どうしても片手取り・両手取り・胸取り正面打ちなどの、攻撃の方法で技を分類する事に納得出来ず悩んでいました。その頃に、S多さんから膨大な手書き「S多メモ」のコピーを頂戴しました。そこには、私が思いつきでやった稽古のことや、相手の攻撃を自分の身体に吸収してその反作用を返していく過程を図にしてありました。私はこれだ!っと思い「技の修得目標への提案」(配付資料005)を纏めました。
その後、S多メモを纏めたものを10周年記念誌に掲載させて頂きました。それが「よくぞここまで10周年」(配付資料004)です。文中の、確かレベル6か7以降は、私が少し手を入れさせて頂いたように記憶しています。配付資料121は、15周年記念誌に掲載する為に、題名を変更させて頂きました。いくら洒落とはいえ、私の名前を冠した会があると思われると困るので、変更したのです。でも現在は、会の名前は違いますが、現実となってしまった訳です。
▼見取り稽古
確か1988年頃でしたが、私はOS先生の講習会で、OS先生が車椅子に座られたままで、合気を掛けられたことがあります。OS先生は、海外の支部で車椅子の人が入会するようなので、その時偶然講習会場にあった車椅子を使って技を掛けてみて、ご自分でテストされたようでした。
先生が車椅子に腰掛けておられると、両足を置く車椅子のステップ部分があるので、正面からの攻撃はし難かったことを覚えています。ですから、どうしても先生の両サイドからの攻撃になってしまいました。しかし、車椅子の横から先生の手や胴衣を掴むと、先生の足元のステップ部分に投げ落とされるような気がして、出来るだけ遠くへ飛んで受け身をとるようにした記憶があります。
この時に私は、先生が他の人に技を掛けておられる時の動きをみていて、OS先生は車椅子の技を型として習われた筈はないので、やはり合気の身体づくりが大切だと感じたのです。さらに、車椅子では歩法や膝を使えないので、車椅子のブレーキを上手に使っておられました。そして、「呼吸を盗む」という先生のお言葉が、私の中では大きな謎となって残ったのです。
その頃の私の基本的な考え方は、「観察し 感じ 考え 勘冴えて 先入観を 捨てんとあかん」ということでした。
▼合気上げ下げ
これは、大東流合気柔術 岡本正剛著 スポーツライフ社 1985年9月発行に掲載された「合気上げ下げ」の時の「手の拡大分解写真(P.48~49)」です。解説には、「掴まれた手首を少し下げながら、指先を上に向け上げ、頂点近くで円を描きながら下に戻す」と書かれています。
1999年7月に気天舎から発行された、同じ内容の本にもP.66~67に「手の拡大写真」が掲載されていますが、雰囲気は全く変わっています。
約14年で、岡本正剛先生の技もますます精妙になり、外から見ていては、何をしているのか分かりにくくなったのではないでしょうか。
合気道の植芝盛平翁も50歳代に朝日新聞社で撮影したものと、晩年に撮影されたものでは動きを変化させておられます。
▼仮想対談2
S:形にとらわれてはいけない。形を作ってはいけない。他から見たら格好良いかもしれないが作った形は死物である。
S:柔術を形としてやるのが一番悪い。実際に全然使い物にならなくなってしまう。変化が大事なのだ。私の所のやり方はそうだ。一つの代表として形を教えても臨機応変に変化する。
S:どうも、皆形をまねようとして、形さえまねできれば良いと思っているようだがそうではない。形ではなく、形にあらわれないところに本当に大事なものがあるのだ。
▼合気道の奥義
いつになっても研究は続けなければならない。わしは今でも常に研究しているので、こういう場合どうすれば良いと直ぐに分かる。研究を止めれば同じ技しか使えない。研究を続けて筋道が分かってくれば、ますます直感的に技が分かるようになる。いつになっても新しい技の世界がある。
後で師を離れて自分で研究をしていくようになって、あそこでこういわれたと必ず思い起こすことがある。
どんな技でも技ができてから理論が作られた。したがって理論を考えてから技を覚えようとするのは間違いである。まず体をつくり、動けるようになるのが先決である。タイミングが大切。技の利くポイントを狙う。いたずらに速くてもまた遅くても技は掛からぬ。
結局のところ(諸々の技は)合気之体を作ることが目的であって、合気之体ができればどのように動いても技になり合気になる。【植芝翁がいわれた「武産(たけむす)」とおなじことでは・・・楽隠居】
合気を使う体は糸を張ったように使う。どこまでも糸をピンと張ったように連続して行く。それをそうでないように見せて使う。【相手からの力の反作用を使うのだから、「接触面を点」にして、指先から足先まで身体の中をつなげる。「神経訓練(ブログ内検索をしてください)」「体全体が呼吸をする」「動作のイメージ」などのことも検証する必要があるのでは・・・楽隠居】
▼体全体が呼吸をする
-ー呼吸というのは、どういった鍛錬法があるのですか。
小川 呼吸と言ったって「ふいご」と同じなんですよ。ふっと息を吹き込む感じなんです。自分の体を空洞にする。だから力んではだめというのは、体を楽にすれば呼吸が普通にできるからです。ちょっとしたことなんです。目に見えるようなことではないんです。
中心線を締めると脇も手も締まるんです、力で締まるんじゃなくて。息を吐くというのは、中心なんですよ。すると簡単に中心線が出るんです。そういう感性が必要なんです、ほんのちょっとしたことを感じる。おおざっぱな人にわからないと言うのはそこなんです。
原理がわかってくると、足の内側をちょっと張るような感じになるわけですよ。自分の気持ちをふっと締めるような感じなんです。そうすると足の内側の筋肉がすこし張る状態になるんですね、外側の筋肉でなく。一番の問題は出すという考え方なんですよ。
#楽隠居です
合気探究の過程で練功法を作ったのはなぜなのか?説明するのはなかなか難しいので、関連がありそうな資料を掲載させていただきました。皆さんもご自分で、自分の為の練功法を工夫してみてください。
☆おまけ
先日、S川さんから「どんな字を書いてるんですか?道具なども知りたいです。」というご質問がありましたので、私が使っている大字用(右側)と細字用(左側)の水滴と秘蔵の墨と参考図書の写真を載せておきます。最近、私がしているもう一つの練功法が、好みの字をなぞり書きすることなんです。
参照:手の内は見せられない
☆リンク先で更新された記事
・豊かさ
・体験記20
・ハッピィー
合気の技を創意工夫しながら、思いつきで教えていたという説には納得してしまいます。OS先生に教えて頂いていた頃は、先生に技をかけていただく場合は、何人かで相談して「ふわっと持つ人」「ガッチリ持つ人」「気持ちを動かさないようにして、ぴったり持つ人」と、役割分担して稽古しました。そうすると、先生の技が変わってしまうので、なかなか面白い稽古ができました。勿論、型の保存会には成り得ない稽古方法でした。
前提条件が変わると、当然ですが技が変わってしまう訳です。その上、持ち方の癖や身体の使い方の癖によって、技をかけられた場合の反応の仕方も変わります。ですから、いろいろな持ち方や攻撃の仕方に、臨機応変に対応する稽古が必要で、稽古の中で合気の通りを感じながら、自分も身体内部のつながりや力の出し方を工夫することが大切になります。
佐川先生は、合気はゆっくりかけることが大切だと言っておられたとか・・・
六方会の岡本先生も、同じ技を早くかけたり、ゆっくりかけたりして下さったと書かれていたと思います。
▼合気習得過程までの過程
、私は合気柔術を習いながら、どうしても片手取り・両手取り・胸取り正面打ちなどの、攻撃の方法で技を分類する事に納得出来ず悩んでいました。その頃に、S多さんから膨大な手書き「S多メモ」のコピーを頂戴しました。そこには、私が思いつきでやった稽古のことや、相手の攻撃を自分の身体に吸収してその反作用を返していく過程を図にしてありました。私はこれだ!っと思い「技の修得目標への提案」(配付資料005)を纏めました。
その後、S多メモを纏めたものを10周年記念誌に掲載させて頂きました。それが「よくぞここまで10周年」(配付資料004)です。文中の、確かレベル6か7以降は、私が少し手を入れさせて頂いたように記憶しています。配付資料121は、15周年記念誌に掲載する為に、題名を変更させて頂きました。いくら洒落とはいえ、私の名前を冠した会があると思われると困るので、変更したのです。でも現在は、会の名前は違いますが、現実となってしまった訳です。
▼見取り稽古
確か1988年頃でしたが、私はOS先生の講習会で、OS先生が車椅子に座られたままで、合気を掛けられたことがあります。OS先生は、海外の支部で車椅子の人が入会するようなので、その時偶然講習会場にあった車椅子を使って技を掛けてみて、ご自分でテストされたようでした。
先生が車椅子に腰掛けておられると、両足を置く車椅子のステップ部分があるので、正面からの攻撃はし難かったことを覚えています。ですから、どうしても先生の両サイドからの攻撃になってしまいました。しかし、車椅子の横から先生の手や胴衣を掴むと、先生の足元のステップ部分に投げ落とされるような気がして、出来るだけ遠くへ飛んで受け身をとるようにした記憶があります。
この時に私は、先生が他の人に技を掛けておられる時の動きをみていて、OS先生は車椅子の技を型として習われた筈はないので、やはり合気の身体づくりが大切だと感じたのです。さらに、車椅子では歩法や膝を使えないので、車椅子のブレーキを上手に使っておられました。そして、「呼吸を盗む」という先生のお言葉が、私の中では大きな謎となって残ったのです。
その頃の私の基本的な考え方は、「観察し 感じ 考え 勘冴えて 先入観を 捨てんとあかん」ということでした。
▼合気上げ下げ
これは、大東流合気柔術 岡本正剛著 スポーツライフ社 1985年9月発行に掲載された「合気上げ下げ」の時の「手の拡大分解写真(P.48~49)」です。解説には、「掴まれた手首を少し下げながら、指先を上に向け上げ、頂点近くで円を描きながら下に戻す」と書かれています。
1999年7月に気天舎から発行された、同じ内容の本にもP.66~67に「手の拡大写真」が掲載されていますが、雰囲気は全く変わっています。
約14年で、岡本正剛先生の技もますます精妙になり、外から見ていては、何をしているのか分かりにくくなったのではないでしょうか。
合気道の植芝盛平翁も50歳代に朝日新聞社で撮影したものと、晩年に撮影されたものでは動きを変化させておられます。
▼仮想対談2
S:形にとらわれてはいけない。形を作ってはいけない。他から見たら格好良いかもしれないが作った形は死物である。
S:柔術を形としてやるのが一番悪い。実際に全然使い物にならなくなってしまう。変化が大事なのだ。私の所のやり方はそうだ。一つの代表として形を教えても臨機応変に変化する。
S:どうも、皆形をまねようとして、形さえまねできれば良いと思っているようだがそうではない。形ではなく、形にあらわれないところに本当に大事なものがあるのだ。
▼合気道の奥義
いつになっても研究は続けなければならない。わしは今でも常に研究しているので、こういう場合どうすれば良いと直ぐに分かる。研究を止めれば同じ技しか使えない。研究を続けて筋道が分かってくれば、ますます直感的に技が分かるようになる。いつになっても新しい技の世界がある。
後で師を離れて自分で研究をしていくようになって、あそこでこういわれたと必ず思い起こすことがある。
どんな技でも技ができてから理論が作られた。したがって理論を考えてから技を覚えようとするのは間違いである。まず体をつくり、動けるようになるのが先決である。タイミングが大切。技の利くポイントを狙う。いたずらに速くてもまた遅くても技は掛からぬ。
結局のところ(諸々の技は)合気之体を作ることが目的であって、合気之体ができればどのように動いても技になり合気になる。【植芝翁がいわれた「武産(たけむす)」とおなじことでは・・・楽隠居】
合気を使う体は糸を張ったように使う。どこまでも糸をピンと張ったように連続して行く。それをそうでないように見せて使う。【相手からの力の反作用を使うのだから、「接触面を点」にして、指先から足先まで身体の中をつなげる。「神経訓練(ブログ内検索をしてください)」「体全体が呼吸をする」「動作のイメージ」などのことも検証する必要があるのでは・・・楽隠居】
▼体全体が呼吸をする
-ー呼吸というのは、どういった鍛錬法があるのですか。
小川 呼吸と言ったって「ふいご」と同じなんですよ。ふっと息を吹き込む感じなんです。自分の体を空洞にする。だから力んではだめというのは、体を楽にすれば呼吸が普通にできるからです。ちょっとしたことなんです。目に見えるようなことではないんです。
中心線を締めると脇も手も締まるんです、力で締まるんじゃなくて。息を吐くというのは、中心なんですよ。すると簡単に中心線が出るんです。そういう感性が必要なんです、ほんのちょっとしたことを感じる。おおざっぱな人にわからないと言うのはそこなんです。
原理がわかってくると、足の内側をちょっと張るような感じになるわけですよ。自分の気持ちをふっと締めるような感じなんです。そうすると足の内側の筋肉がすこし張る状態になるんですね、外側の筋肉でなく。一番の問題は出すという考え方なんですよ。
#楽隠居です
合気探究の過程で練功法を作ったのはなぜなのか?説明するのはなかなか難しいので、関連がありそうな資料を掲載させていただきました。皆さんもご自分で、自分の為の練功法を工夫してみてください。
☆おまけ
先日、S川さんから「どんな字を書いてるんですか?道具なども知りたいです。」というご質問がありましたので、私が使っている大字用(右側)と細字用(左側)の水滴と秘蔵の墨と参考図書の写真を載せておきます。最近、私がしているもう一つの練功法が、好みの字をなぞり書きすることなんです。
参照:手の内は見せられない
☆リンク先で更新された記事
・豊かさ
・体験記20
・ハッピィー
by centeringkokyu
| 2012-01-26 00:20
| 合気の要訣