2005年 04月 03日
神経の訓練法 |
生気自強療法独習録 石井常造著 から引用します。
生気自強療法の特色
○第一の特色
自己の生気を応用し
自己運動を誘発し
自己の疾病を治療し
自己の健康を増進し
自己の体質を改善する
○第二の特色
他人の生気を興起し
自己運動を誘発し
他人の疾病を治療し
他人の健康を増進し
他人の体質を改善する
神経の訓練法及び其実習
神経の訓練法は、各種の姿勢に於て之を為すことを得べく、其目的とする所は全身の神経に強き刺戟を與へて之を興奮せしめ、其萎憊せるものを振興し、其の衰弱せるものを強壮ならしむるに在り。故に何れの姿勢に於ても、十分に力を込め、静かに且徐々に之を行ひ、一回行ひたる後は先づ息を休め、然る後再び静かに之を行ひ、時間を惜まず、緩やかに之を行ふを要す。
此の訓練法は頗る簡単なりと雖も、自己運動は其結果を待って起るものなるを以て、生気自強療法の根源とも称すべきものなり。況んや各種疾病の原因は単に之れのみに依るも、之を除去し得る程の効験あるものなるを以て、最初の間熱心に之を行ふべし。殊に延髄、脊髄に與ふる所の刺戟は、其神経中枢を強壮ならしめ、此の中枢の強壮は直に之れより分布する、諸神経を強健ならしむるものなるが放に、神経衰弱症の如きは単に之れのみに依りて、之を治癒せしむることを得るのみならず、又之に依り神経衰弱を予防することを得るなり。故に予は学生に対する講演に際しては、常に其一法を示して、日常之を行ふべきを奨励しつゝあり。
自己運動は坐姿、臥姿、椅姿、立姿の何れの姿勢に於ても、自由に之を行ふことを得べし。故に神経の訓練法も亦前記四種の姿勢に於ても、之を行ふを便とす。依て逐次之が方法を説かん。
(1)正座の場合
正座とは容儀を整ひたる、窮屈なる姿勢を云ふものにあらずして、自然にして安楽なる姿勢を云ふなり。 故に膝頭を約二拳幅丈離して開き、水落の部を張らずして之を僅に屈して落し、腹も之を故意に張ることなく、反て稍々後方に屈して安楽にし、両足は余り重ねず、僅かに足尖の接触する位にして平らかに置き、其上に臀部を載せ、首は前に屈めて顎を胸に近づけ、眼を軽く閉ぢ両手は指を軽く自然に屈め、之を股の上に斜に立てゝて置き、口は軽く閉づべし。
此の姿勢は元来自己運動を為す姿勢にして、姿勢其者より言ふ時は、稍々崩れたるものゝ如くなるも、長く運動を持続する場合に於ては窮屈なる姿勢に堪え得ざるを以て、力めて安楽ならしむるの必要あると同時に、身体の何れの部分にも無理なく、且力の入りたる所なからしめ、之に依りて神経の働きを自由ならしめんとするに在り。今若し首を正しく立つるとせよ、此の正しく立てゝ保持する為には、筋肉の力を要するを以て自から緊張すべく、此の緊張が乃ち他の運動に抵抗して著しき障碍となるべし、腰を張るも亦同様なり。
両手の指を軽く屈めて、斜に股の上に立つるは、腕の重さを手首又は手の甲に掛けて重く股を押し付け、之が為手腕の運動を妨害するこどなからんを欲すればなり。試みに手の甲を股に着くる如く、手掌を上方にして之を置けば、著しく腕の重さの手首、手甲に掛るを実験すべし。然る時は上体の運動に当たり、肩より自然に腕に伝わりて、両手の動揺し始むべき場合に於ても、此重さと廣き手の甲の附着面とは、著しく抵抗して固く附著したる儘、少しも動かさることゝなるべし。然れども斜に立つる時は、此の附着面も大に減少して、手は動き易き姿勢に在り。
右の姿勢を取りたる後、軽く拳を握りつゝ両腕を屈めて、之を肩の両側に引き、首を後方に倒して、喉を十分に伸ばし上腕に力を入れて、腕を後方に引くと同時に、胸を張り、腰を伸ばし、其の堪え得る程度に及んで、少しく堪らへ、然る後静かに力を抜きつゝ元の姿勢に復すべし。而して其間の呼吸は自然に任せて之を行ふべし。
胸を張り腰を伸ばすには、少しく臀を浮かす心持にて、胸を上方に衝き上ぐる如くするを良しとし、此の際腕は引き下ぐることなく、成るべく之を後方に引き上ぐる如くすべし。然る時は胸は自から十分に開き、又腰も自然に張りて伸ふべし。
拳に力を入るゝ時は、腕に十分力を入るゝ能はざるを以て、軽く之を握る程度と為すべし。又首を後方に倒して十分に力を入るゝ時は、胸筋の緊張に件ひ、脊髄は自然に引き伸ばさるゝことゝなるを以て、為し得る限り強く首を倒すべし。然る時は延髄は勿論頭部全體に刺戟を與へて、脳神経を訓練するの利あり。
斯の如き方法に依り、別記の連動を三乃至五回連続すべし。然る時巌寒に於ても全身温暖を増し、稍々発汗の状を呈し、酷暑の際に於ては流汗すべきも、而かも冷やかなる爽快を感ずるに至るべし。
安楽なる姿勢を取るの必要は既に述べたる如くなるも、生気自己運動は身体を自由に動かすを以て、或は腰を伸ばし、或は肩を張り、或は首を立つるの必要ある場合には、自然に其運動を起して、姿勢の変換を来すの妙あり。故に伸ばすべき時に伸し、張るべき時に張りて、固有の変歪求めずして矯正せらるゝが故に、此等は悉く自己運動に一任して可なるを以て、座法も亦之が為害を招くが如き憂なきものとす。
※管理人です。
慣れないと読みにくいかもしれません。私も適当に読んでいるだけですが、整体協会の活元運動の準備段階と同じです。以前は、ただの準備だと思って読み流していたのですが、神経訓練法として読みなおすと、結構面白かったのでご紹介しました。臨界点での緊張と緊張しすぎの状態との違いを意識しながらお試しください。
下の写真は、座姿の神経訓練法です。手首の使い方に注目してください。
生気自強療法の特色
○第一の特色
自己の生気を応用し
自己運動を誘発し
自己の疾病を治療し
自己の健康を増進し
自己の体質を改善する
○第二の特色
他人の生気を興起し
自己運動を誘発し
他人の疾病を治療し
他人の健康を増進し
他人の体質を改善する
神経の訓練法及び其実習
神経の訓練法は、各種の姿勢に於て之を為すことを得べく、其目的とする所は全身の神経に強き刺戟を與へて之を興奮せしめ、其萎憊せるものを振興し、其の衰弱せるものを強壮ならしむるに在り。故に何れの姿勢に於ても、十分に力を込め、静かに且徐々に之を行ひ、一回行ひたる後は先づ息を休め、然る後再び静かに之を行ひ、時間を惜まず、緩やかに之を行ふを要す。
此の訓練法は頗る簡単なりと雖も、自己運動は其結果を待って起るものなるを以て、生気自強療法の根源とも称すべきものなり。況んや各種疾病の原因は単に之れのみに依るも、之を除去し得る程の効験あるものなるを以て、最初の間熱心に之を行ふべし。殊に延髄、脊髄に與ふる所の刺戟は、其神経中枢を強壮ならしめ、此の中枢の強壮は直に之れより分布する、諸神経を強健ならしむるものなるが放に、神経衰弱症の如きは単に之れのみに依りて、之を治癒せしむることを得るのみならず、又之に依り神経衰弱を予防することを得るなり。故に予は学生に対する講演に際しては、常に其一法を示して、日常之を行ふべきを奨励しつゝあり。
自己運動は坐姿、臥姿、椅姿、立姿の何れの姿勢に於ても、自由に之を行ふことを得べし。故に神経の訓練法も亦前記四種の姿勢に於ても、之を行ふを便とす。依て逐次之が方法を説かん。
(1)正座の場合
正座とは容儀を整ひたる、窮屈なる姿勢を云ふものにあらずして、自然にして安楽なる姿勢を云ふなり。 故に膝頭を約二拳幅丈離して開き、水落の部を張らずして之を僅に屈して落し、腹も之を故意に張ることなく、反て稍々後方に屈して安楽にし、両足は余り重ねず、僅かに足尖の接触する位にして平らかに置き、其上に臀部を載せ、首は前に屈めて顎を胸に近づけ、眼を軽く閉ぢ両手は指を軽く自然に屈め、之を股の上に斜に立てゝて置き、口は軽く閉づべし。
此の姿勢は元来自己運動を為す姿勢にして、姿勢其者より言ふ時は、稍々崩れたるものゝ如くなるも、長く運動を持続する場合に於ては窮屈なる姿勢に堪え得ざるを以て、力めて安楽ならしむるの必要あると同時に、身体の何れの部分にも無理なく、且力の入りたる所なからしめ、之に依りて神経の働きを自由ならしめんとするに在り。今若し首を正しく立つるとせよ、此の正しく立てゝ保持する為には、筋肉の力を要するを以て自から緊張すべく、此の緊張が乃ち他の運動に抵抗して著しき障碍となるべし、腰を張るも亦同様なり。
両手の指を軽く屈めて、斜に股の上に立つるは、腕の重さを手首又は手の甲に掛けて重く股を押し付け、之が為手腕の運動を妨害するこどなからんを欲すればなり。試みに手の甲を股に着くる如く、手掌を上方にして之を置けば、著しく腕の重さの手首、手甲に掛るを実験すべし。然る時は上体の運動に当たり、肩より自然に腕に伝わりて、両手の動揺し始むべき場合に於ても、此重さと廣き手の甲の附着面とは、著しく抵抗して固く附著したる儘、少しも動かさることゝなるべし。然れども斜に立つる時は、此の附着面も大に減少して、手は動き易き姿勢に在り。
右の姿勢を取りたる後、軽く拳を握りつゝ両腕を屈めて、之を肩の両側に引き、首を後方に倒して、喉を十分に伸ばし上腕に力を入れて、腕を後方に引くと同時に、胸を張り、腰を伸ばし、其の堪え得る程度に及んで、少しく堪らへ、然る後静かに力を抜きつゝ元の姿勢に復すべし。而して其間の呼吸は自然に任せて之を行ふべし。
胸を張り腰を伸ばすには、少しく臀を浮かす心持にて、胸を上方に衝き上ぐる如くするを良しとし、此の際腕は引き下ぐることなく、成るべく之を後方に引き上ぐる如くすべし。然る時は胸は自から十分に開き、又腰も自然に張りて伸ふべし。
拳に力を入るゝ時は、腕に十分力を入るゝ能はざるを以て、軽く之を握る程度と為すべし。又首を後方に倒して十分に力を入るゝ時は、胸筋の緊張に件ひ、脊髄は自然に引き伸ばさるゝことゝなるを以て、為し得る限り強く首を倒すべし。然る時は延髄は勿論頭部全體に刺戟を與へて、脳神経を訓練するの利あり。
斯の如き方法に依り、別記の連動を三乃至五回連続すべし。然る時巌寒に於ても全身温暖を増し、稍々発汗の状を呈し、酷暑の際に於ては流汗すべきも、而かも冷やかなる爽快を感ずるに至るべし。
安楽なる姿勢を取るの必要は既に述べたる如くなるも、生気自己運動は身体を自由に動かすを以て、或は腰を伸ばし、或は肩を張り、或は首を立つるの必要ある場合には、自然に其運動を起して、姿勢の変換を来すの妙あり。故に伸ばすべき時に伸し、張るべき時に張りて、固有の変歪求めずして矯正せらるゝが故に、此等は悉く自己運動に一任して可なるを以て、座法も亦之が為害を招くが如き憂なきものとす。
※管理人です。
慣れないと読みにくいかもしれません。私も適当に読んでいるだけですが、整体協会の活元運動の準備段階と同じです。以前は、ただの準備だと思って読み流していたのですが、神経訓練法として読みなおすと、結構面白かったのでご紹介しました。臨界点での緊張と緊張しすぎの状態との違いを意識しながらお試しください。
下の写真は、座姿の神経訓練法です。手首の使い方に注目してください。
by centeringkokyu
| 2005-04-03 20:53
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