2009年 10月 28日
世にも不思議な官僚の世界 |
「百年に一度の危機から日本経済を救う会議」 高橋洋一 × 長谷川幸洋 対談からご紹介します。
▼官僚帝国ならではの「サラトイ」文化
高橋 財政審と同じく、官僚の世界で行なわれる会議には、本当に無駄なものが多い。たとえば「更問い (サラトイ)」というのも、本当に無駄な文化です。
長谷川 財務省用語ですね。「問い」・「答え」・「問い」・「答え」とある場合、二度目の問答を「更問い」と呼びますよね。「更なる」問いですから。
高橋 そうです。要するに、二のや三の矢の「更問い」があって、「更問い」がたくさんあればあるほど、官僚の評価ポイントが高くなる。だからみな、「更問い」の回答を記憶して、スムーズにそのとおりの発言をしようとする。いろんな想定問答をたくさん用意してそれを記憶するというのが、官僚の世界での出世の早道です。
長谷川 「更問い」は財務省以外にもあるものですか?
高橋 あります。これは役人にとって一種の精神安定剤ですからね。でも「更問い」 の厚さは、財務省は断トツです。「更問い」がたくさん書けると評価が高くなる。なかには、一つの項目について五十問の 「更問い」をつくれと命じられることもあります。とくに郵政民営化のときなんて、毎日毎日、分厚い想定問答を作成していましたね。
長谷川 役人のできる・できないの評価は、「更問い」で評価されるというわけですね。
高橋 もちろん私はそういうのが嫌いだったから、一切覚えなかったし作りませんでした。けれども、私が大蔵省に入ったとき、周りの人をある意味で頭がいいなと思いました。こんなにくだらないことをよく覚えていられるものだと感心しました。
長谷川 ある政治家に言われたことがあります。「長谷川さん、やはり財務省はすごいな。更問いの量が圧倒的に違うよ」 って (笑)。
高橋 おそらく国会議員で、原理を理解して応用問題のできる人は皆無に近いでしょう。だから、国会議員としてもその場にいちばんふさわしい問いと答えを的確に用意できることがいちばんなわけで、そうすると 「更問い」はたくさんあればあるほどいいわけです。そして、その 「更問い」を後ろでいつも用意していてほしいと思っている。
竹中さんは「更問いなんてばかばかしい」と言っていましたね。だから、いつも私に「高橋、この間題の原理を教えて」と一般則を聞いてきました。それだけ理解して、あとは全部アドリブで答える。役所の中でも、局長クラスには賢い人ももちろんいます。彼らはみなそういう思考をしています。だから「更問い」をたくさん用意する役人は、能力の低い人だし、「更問い」をたくさんもらう政治家は、その官僚からさえ馬鹿にされている人だと理解したほうがいいでしょう。
長谷川 しかも笑えるのは、その「更問い」を手に入れて喜んでいる新聞記者もいるのです。そして「『更問い』をもらえるとは、俺もずいぶんと食い込んだきと自己満足している。「更問い」集は一種の役所の内部文書なので、それを手に入れられるか否かで、一喜一憂しているのがじつは新聞記者なのです。
ほとんどの記者が官僚からネタをもらって書いているのが現状ですからね。そういえば、私が財政審に入るときに、いまは主計局次長になった木下康司氏から誘われた文句は、「長谷川さん、財政審に入ったら、長谷川さんが欲しがるよう資料は全部あるよ」というものでした。「何も取材要らないよ。必要資料はなんでも全部ある」と言って勧誘されたのを、いまでも覚えています。
#楽隠居です
政治も経済も、詳しいことは分かりませんが、他にも興味深いことが書かれていましたので、少しだけ抜粋しておきます。
◎中央官僚は道州制の「何に」抵抗するかといえば、結局20万人が中央官僚でなくなることと、15兆円という税源が自分たちの手から離れていくことの二つが嫌だから反対するわけです。
◎年金が国で管理すべきものである以上、「消費税を年金の財源にする」ということは、これからもずっと国税であるという宣言にほかならない。これは、財務省が仕掛けた巧妙なトラップです。
◎財務省は外貨預金、外貨証券投資という外為特別会計を使って、約100兆円のファンドをもっている。そのお金を財務省が運用するので、銀行、証券会社は財務省の取引相手です。これだけのお金を預けてくれるのは最大のお得意さんだから、まず批判することはない、というよりもできるわけがない。
◎元日銀総裁の福井俊彦氏は、総裁になる前は富士通総研の理事長でしたが、なぜ副総裁の地位にあった福井氏が、民間の理事長に収まることができたのかというと、その背景には、日銀のコンピュータシステムを引き受けているのが富士通だったという事情があるからです。コンピュータ大手メーカーにとって、全国規模でコンピュータシステムのネットワークを張り巡らせている日銀さんは、もちろん大のお得意様なわけです。
◎官僚というのは平気でいったん決めたものをひっくり返して骨抜きにする。さらに骨抜きにしたものから官房長官の想定問答を作成して乗り切ろうとする。
◎UR(都市再生機構)という、国交省の天下り先としてはトップのところが、ニュータウン事業をやって、2004年ごろまでに7000億の損失をだしました。ところが、埋蔵金を使ってちゃっかり穴埋めしてしまった。
週刊朝日2009年4月24日号の書評
百年に一度の危機から日本経済を救う会議 この[評者] 永江朗氏は、
同じネタのはずですが・・の後半でも取り上げさせていただきましたが、なんだかなぁ~?という感じの書評ですね。
ところで、日曜日に実家の両親の様子を見に行ってきました。驚いたのは、膝が悪い母の身体が丸くなって、骨盤が拡がり、息が上手く吸えないのです。老化が一気に進んだ感じでした。
母に尋ねると、病院から若いお兄さんが派遣されてきて、膝は治せないから、腹筋から始めましょうということで、胸の前で腕を交差させて一生懸命腹筋運動をしたとのことでした。運動療法をしているつもりなのでしょうが、何も考えていないし、現状認識と運動効果の検証を全くしていないようでした。
母は、教えてもらったことを一生懸命にやれば少しは楽になるかと思ったらしいのですが、身体が丸くなって、立つと膝に負担が掛かるし、息を大きく吸えないので、どんどん前傾姿勢になっていったようです。
私は、膝の調整をしてから、呼吸の誘導をして、椅子に座ったままでいいからと「ローズちゃんのポーズ」を教えました。最後には、顔色も良くなりました。
NHKの「名医にQ」などでは、一般的な体操を紹介するしかないので、個々にはあまり役に立ちそうもない体操しか紹介できないでしょうが、個人指導をするのですから、もう少し考えて体操を指導していただきたいものだと思います。老化促進体操なんか教えてどうするんでしょうか?
治療関係者こそ「更問い」をする必要があるのかもしれませんね!
参照1:野口三千三語録
参照2:道歌から知る美しい生き方
参照3:健康と不適応への動作対応
参照4:診断しても治療無し?
参照5:医者に過剰な期待をしない
参照6:宗派が違う?
参照7:姿勢を意識する
参照8:合理的な身体運動
▼官僚帝国ならではの「サラトイ」文化
高橋 財政審と同じく、官僚の世界で行なわれる会議には、本当に無駄なものが多い。たとえば「更問い (サラトイ)」というのも、本当に無駄な文化です。
長谷川 財務省用語ですね。「問い」・「答え」・「問い」・「答え」とある場合、二度目の問答を「更問い」と呼びますよね。「更なる」問いですから。
高橋 そうです。要するに、二のや三の矢の「更問い」があって、「更問い」がたくさんあればあるほど、官僚の評価ポイントが高くなる。だからみな、「更問い」の回答を記憶して、スムーズにそのとおりの発言をしようとする。いろんな想定問答をたくさん用意してそれを記憶するというのが、官僚の世界での出世の早道です。
長谷川 「更問い」は財務省以外にもあるものですか?
高橋 あります。これは役人にとって一種の精神安定剤ですからね。でも「更問い」 の厚さは、財務省は断トツです。「更問い」がたくさん書けると評価が高くなる。なかには、一つの項目について五十問の 「更問い」をつくれと命じられることもあります。とくに郵政民営化のときなんて、毎日毎日、分厚い想定問答を作成していましたね。
長谷川 役人のできる・できないの評価は、「更問い」で評価されるというわけですね。
高橋 もちろん私はそういうのが嫌いだったから、一切覚えなかったし作りませんでした。けれども、私が大蔵省に入ったとき、周りの人をある意味で頭がいいなと思いました。こんなにくだらないことをよく覚えていられるものだと感心しました。
長谷川 ある政治家に言われたことがあります。「長谷川さん、やはり財務省はすごいな。更問いの量が圧倒的に違うよ」 って (笑)。
高橋 おそらく国会議員で、原理を理解して応用問題のできる人は皆無に近いでしょう。だから、国会議員としてもその場にいちばんふさわしい問いと答えを的確に用意できることがいちばんなわけで、そうすると 「更問い」はたくさんあればあるほどいいわけです。そして、その 「更問い」を後ろでいつも用意していてほしいと思っている。
竹中さんは「更問いなんてばかばかしい」と言っていましたね。だから、いつも私に「高橋、この間題の原理を教えて」と一般則を聞いてきました。それだけ理解して、あとは全部アドリブで答える。役所の中でも、局長クラスには賢い人ももちろんいます。彼らはみなそういう思考をしています。だから「更問い」をたくさん用意する役人は、能力の低い人だし、「更問い」をたくさんもらう政治家は、その官僚からさえ馬鹿にされている人だと理解したほうがいいでしょう。
長谷川 しかも笑えるのは、その「更問い」を手に入れて喜んでいる新聞記者もいるのです。そして「『更問い』をもらえるとは、俺もずいぶんと食い込んだきと自己満足している。「更問い」集は一種の役所の内部文書なので、それを手に入れられるか否かで、一喜一憂しているのがじつは新聞記者なのです。
ほとんどの記者が官僚からネタをもらって書いているのが現状ですからね。そういえば、私が財政審に入るときに、いまは主計局次長になった木下康司氏から誘われた文句は、「長谷川さん、財政審に入ったら、長谷川さんが欲しがるよう資料は全部あるよ」というものでした。「何も取材要らないよ。必要資料はなんでも全部ある」と言って勧誘されたのを、いまでも覚えています。
#楽隠居です
政治も経済も、詳しいことは分かりませんが、他にも興味深いことが書かれていましたので、少しだけ抜粋しておきます。
◎中央官僚は道州制の「何に」抵抗するかといえば、結局20万人が中央官僚でなくなることと、15兆円という税源が自分たちの手から離れていくことの二つが嫌だから反対するわけです。
◎年金が国で管理すべきものである以上、「消費税を年金の財源にする」ということは、これからもずっと国税であるという宣言にほかならない。これは、財務省が仕掛けた巧妙なトラップです。
◎財務省は外貨預金、外貨証券投資という外為特別会計を使って、約100兆円のファンドをもっている。そのお金を財務省が運用するので、銀行、証券会社は財務省の取引相手です。これだけのお金を預けてくれるのは最大のお得意さんだから、まず批判することはない、というよりもできるわけがない。
◎元日銀総裁の福井俊彦氏は、総裁になる前は富士通総研の理事長でしたが、なぜ副総裁の地位にあった福井氏が、民間の理事長に収まることができたのかというと、その背景には、日銀のコンピュータシステムを引き受けているのが富士通だったという事情があるからです。コンピュータ大手メーカーにとって、全国規模でコンピュータシステムのネットワークを張り巡らせている日銀さんは、もちろん大のお得意様なわけです。
◎官僚というのは平気でいったん決めたものをひっくり返して骨抜きにする。さらに骨抜きにしたものから官房長官の想定問答を作成して乗り切ろうとする。
◎UR(都市再生機構)という、国交省の天下り先としてはトップのところが、ニュータウン事業をやって、2004年ごろまでに7000億の損失をだしました。ところが、埋蔵金を使ってちゃっかり穴埋めしてしまった。
週刊朝日2009年4月24日号の書評
百年に一度の危機から日本経済を救う会議 この[評者] 永江朗氏は、
同じネタのはずですが・・の後半でも取り上げさせていただきましたが、なんだかなぁ~?という感じの書評ですね。
ところで、日曜日に実家の両親の様子を見に行ってきました。驚いたのは、膝が悪い母の身体が丸くなって、骨盤が拡がり、息が上手く吸えないのです。老化が一気に進んだ感じでした。
母に尋ねると、病院から若いお兄さんが派遣されてきて、膝は治せないから、腹筋から始めましょうということで、胸の前で腕を交差させて一生懸命腹筋運動をしたとのことでした。運動療法をしているつもりなのでしょうが、何も考えていないし、現状認識と運動効果の検証を全くしていないようでした。
母は、教えてもらったことを一生懸命にやれば少しは楽になるかと思ったらしいのですが、身体が丸くなって、立つと膝に負担が掛かるし、息を大きく吸えないので、どんどん前傾姿勢になっていったようです。
私は、膝の調整をしてから、呼吸の誘導をして、椅子に座ったままでいいからと「ローズちゃんのポーズ」を教えました。最後には、顔色も良くなりました。
NHKの「名医にQ」などでは、一般的な体操を紹介するしかないので、個々にはあまり役に立ちそうもない体操しか紹介できないでしょうが、個人指導をするのですから、もう少し考えて体操を指導していただきたいものだと思います。老化促進体操なんか教えてどうするんでしょうか?
治療関係者こそ「更問い」をする必要があるのかもしれませんね!
参照1:野口三千三語録
参照2:道歌から知る美しい生き方
参照3:健康と不適応への動作対応
参照4:診断しても治療無し?
参照5:医者に過剰な期待をしない
参照6:宗派が違う?
参照7:姿勢を意識する
参照8:合理的な身体運動
by centeringkokyu
| 2009-10-28 00:03
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