2009年 01月 21日
響き合う心と内臓と身体 |
「歯はいのち!」笠茂享久著からご紹介します。
本書では、「歯(咬合)は身体のバランスを整える要」という出発点から、「頭頂部をほぐす」「足からバランスをとる」「口のねじれをとる」の三つのメソッドを軸に、歯のもつ根元的な役割と具体的な調整法をお伝えしてきました。
かなり意外な視点やアプローチも含まれていたと思いますが、これらはみな、長年の治療の現場で、たいへん効果的だったものばかりです。
人体は、パーツパーツに分かれた機械から成り立っているものではありません。一本の管であり、それは筋膜リレーションをはじめとする、さまざまなつながりのシステムの中で、すべてが響き合っています。その響き合う力を利用するのが、整体的アプローチであり、身体をトータルでみる治療です。
身体は心と内臓を入れた容器 ーー この三つは渾然一体となって、相互に影響し合っているものです。
噛み合わせの苦しい患者さんは、歩き方、立ち方、坐り方、その表情など、苦しい人ほど負のオーラが出て、精神的にも不安定でイライラしています。そうなってしまわざるをえないほどつらいということです。
あるいは、内臓に異常があると、つらいからテンションが落ちる。心が正常な反応をしないし、内臓筋の表情である顔もまた、こわばってしまうでしょう。
心にストレスを抱えれば胃腸が痛くなりますし、あるいは精神的に大きなトラブルがあれば、それが思わぬ形で、原因不明の病となって出てしまうこともある。
人の身体は、それほど複雑精緻で絶妙なバランスから成り立っているのです。
逆にいえば、わずかなことで人の身体は変化し、機能を回復します。身体が本来もっている力を取り戻すと、思わぬことがしばしば起こります。
うちの医院に通って、噛み合わせがうまくいくようになった患者さんの中には、身体のバランスが整ったことによって、長年不妊に悩んでいたにもかかわらず、ずっと切望していた子どもに恵まれた方がいました。
また、一〇分おきにトイレに行かなければならず外出もままならなかった重度の頻尿が改善した例や、原因不明のめまいで通勤途中によく倒れていたのが改善した例などもあります。
医師としても、いのちの不思議さを感じさせられる体験でした。そして、多くの方に共通するのは、治療の過程で、とても深く、気持ちよく眠れるようになったということでしょうか。噛むことが、生きる力と直結していることを改めて感じさせられます。
心と内臓と容器としての身体、この三つは、どれがゆがんでもバランスを崩していきます。容器のねじれをとればよく噛め、よく噛めれば内臓は活性化し、心は安定する。その調整の鍵を握るのが、咬合なのです。ですから、歯のケアは、いのちの根幹にダイレクトに働きかける最良の健康法なのです。
生命進化の過程で、よく噛んで味わうことでサルはヒトになりました。
噛むことは、生きることであり、生命としての活力の源です。
歯はいのち ーー 四〇億年の生命史の奇跡がそこには秘められているのです。
#楽隠居です
この本は、I川さんからお借りしました。全部紹介する訳にもいきませんので、最後の項目だけになりました。お勧めの一冊です。
参照:「噛み合わせ」と「歩行」
by centeringkokyu
| 2009-01-21 00:01
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