2008年 10月 28日
動作法 |
「姿勢のふしぎーーしなやかな体と心が健康をつくる」成瀬悟策著の"まえがき"からご紹介します。
脳性マヒで動かないはずの腕が、催眠中に挙がったという事実に直面したのがことの始まりで、それ以来30数年を経て今もなお、人の「動作」というもののおもしろさに取りつかれっぱなしの状態です。
脳性マヒによるからだの強烈な緊張を、脳・神経系から筋・骨格系への生理過程によって弛めるという当初の考えは、現実には役に立ちませんでした。そのからだの持ち主の心理的な活動によって自らからだを弛めることで、初めて治療効果が上がり始めたのです。自己弛緩さえできるようになればと努めるうちに10年ほどが過ぎました。そして、自己弛緩だけでは不充分で、自らの意図どおりにからだを動かす要領を身につけることが必要とわかり、そのための訓練を続けるうち、また10年が過ぎていきました。
それから後の10年でさらにわかったのは、重力にそってからだを大地上にタテに立てることが必要であることでした。それは、からだを立てるための心棒、すなわち体軸をまっすぐに立てて自然に無理のない姿勢がとれるということです。そしてその状態から体軸のどの部位でもそれを柔軟に屈げたり伸ばしたり、反らしたり捻ったりしながら、上体部、手腕、脚足を前後左右自在に使いこなせるようになることが課題となりました。
こうして、脳性マヒで肢体が不自由な人のための動作訓練がいちおうまとまりかけた頃、同じ方法が自閉症や多動の子にも有効であることがわかり、この「動作法」が心理療法として大展開することになりました。精神分裂病を始め、さまざまな症状を示すクライエントの治療で予想外の効果を得られることが確かめられたのです。現在では「動作療法」として全国規模の学会まで開かれるようになりました。
肩や腰などに起きる強い緊張は、肢体の不自由な人特有のものではなく、一般の人にみられる猫背や側湾、腰痛や肩凝り、四十肩、五十肩、外反母趾などの原因でもあることがわかり、また新たな展開が始まりました。そうした悩みを解消する健康法として「動作法」がきわめて有効だからです。また、これといって特に悪いところもないのに立つのがつらい、歩けないなどと訴える高齢者にも、このうえない援助ができるようになりました。
#楽隠居です
催眠術から始まって、催眠術なしで適切な動きを保つにはということを追求して30年。1924年岐阜県生まれ。東京文理科大学心理学科卒業。1988年九州大学教授定年退官。日本催眠医学心理学会理事長、日本心理臨床学会理事長を歴任。というような先生が30年かかって「動作療法」を編み出されたわけです。誰にも習わずに!本当に凄いことですね。
そういえば大東流合気柔術六方会の岡本正剛先生は、1925年生まれの丑年だったはずですから・・・私もまだまだ修行しなくっちゃ〜
参照1:なぜ筋肉を弛緩させるか
参照2:練習の心得
参照3:健康と不適応への動作対応
by centeringkokyu
| 2008-10-28 00:02
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